錢高組の状況｜中堅ゼネコンの状況把握【2021年版】
【業績から把握する錢高組｜2021年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は中堅ゼネコンである錢高組について紹介していきます。具体的には、2021年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考｜主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2020年度における錢高組の受注高は1203億円と前年度から約18.9%の増加となりました。受注高は過去10年間で最も高い水準となった2014年度の1518億円から2017年度の1168億円まで3年連続の減少傾向で推移しました。その後、受注高は2018年度の1249億円まで増加した後、2019年度は1011億円と過去10年間で最も低い水準まで減少しましたが、2020年度は再び増加に転じています。（下図参照）
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約62.7%、土木工事が約37.3%を占めていることが分かります。（下図参照）
中堅ゼネコン8社の受注高における建築工事割合が平均で約43%であることを踏まえると、錢高組は中堅ゼネコンの中でも建築工事の比重が特に高いゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2020年度における売上高は1056億円と前年度より約20.5%の減少となりました。売上高は2012年度より2016年度まで概ね1100億円前後の水準で推移した後、2019年度の1327億円まで3年連続で増加しましたが、2020年度は減少していることが読み取れます。また、この2020年度の水準は、2016年度の1107億円を下回り、過去10年間で最も低い水準となっていることが分かります。（下図参照）
3. 繰越高の状況
続いて、2020年度における錢高組の繰越高は1532億円と前年度から約13.0%の増加となりました。繰越高は2016年度の1718億円まで増加傾向で推移した後、2019年度の1357億円まで3年連続で減少しましたが、2020年度は再び増加に転じています。また、2020年度の水準は、底であった2013年度の水準と比較して約45.2%高い水準にあることが分かります。（下図参照）
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2020年度における錢高組の手持ち工事月数は17.4ヵ月となりました。手持ち工事月数は過去10年間で最も高い水準となった2016年度の18.6ヵ月から2019年度の12.3ヵ月まで3年連続で減少していましたが、2020年度は大きく回復しています。この2020年度の水準は、2016年度の水準に次いで、過去10年間で2番目に高い水準にあることが読み取れます。（下図参照）
4. 営業利益・営業利益率の状況
2020年度における錢高組の営業利益は46億円と前年度より約22.3%減少しました。営業利益は2012年度の−49億円から2015年度の45億円まで増加傾向で推移しましたが、2016年度に37億円まで減少しました。そして、営業利益は2017年度に過去10年間で最も高い水準である70億円まで増加した後、2019年度まで60億円弱の水準で推移し、そこから2020年度は減少した形となっています。（下図参照）
また、2020年度の営業利益率は4.4%でした。営業利益率の推移は、営業利益の推移と類似した推移となっており、2017年度の5.6%を山として2018年度の4.6%まで下落した後、2020年度まで概ね横ばい下落傾向で推移していることが分かります。
5. 従業員の状況
2020年度における錢高組の従業員数は1009人でした。従業員数は2018年度の1042人から2年連続で減少していますが、2013年度より概ね1000人前後の水準で推移していることが読み取れます。（下図参照）
続いて、2020年度における従業員の平均年齢は39.7歳、平均勤続年数は14.9年、平均年収は802.3万円でした。
さらに錢高組の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約119.2（百万円/人）、104.6（百万円/人）、151.9（百万円/人）、4.6（百万円/人）となっています。（下図参照）
参考｜主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【錢高組の状況｜主要データ一覧】
| 項目 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| ① 受注高 | 1203億円 | |
| ② 売上高 | 1056億円 | |
| ③ 繰越高 | 1532億円 | |
| ④ 営業利益 | 46億円 | |
| ⑤ 営業利益率 | 4.4% | ④÷② |
| ⑥ 手持ち工事月数 | 17.4ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
| ⑦ 従業員数 | 1009人 | |
| ⑧ 平均年齢 | 39.7歳 | |
| ⑨ 平均勤続年数 | 14.9年 | |
| ⑩ 平均年収 | 802.3万円 | |
| ⑪ 従業員あたり受注高 | 119.2（百万円/人） | ①÷⑦ |
| ⑫ 従業員あたり売上高 | 104.6（百万円/人） | ②÷⑦ |
| ⑬ 従業員あたり繰越高 | 151.9（百万円/人） | ③÷⑦ |
| ⑭ 従業員あたり営業利益 | 4.6（百万円/人） | ④÷⑦ |
| ⑮ 受注高（建築） | 754億円 | |
| ⑯ 受注高（土木） | 449億円 | |
| ⑰ 受注高（その他） | 0億円 | ① －（⑮＋⑯） |
注）値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして中堅ゼネコンである錢高組の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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