大豊建設の状況|中堅ゼネコンの状況把握【2022年版】
【業績から把握する大豊建設|2022年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は中堅ゼネコンである大豊建設について紹介していきます。具体的には、2022年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2021年度における大豊建設の受注高は1130億円と前年度から約10.5%の減少となりました。受注高は2016年度の1288億円から2017年度の1141億円まで減少した後、2018年度は1483億円と大きく増加しましたが、2019年度から3年連続で減少していることが読み取れます。この2021年度の水準は、直近10年間で底となった2011年度の756億円と比較すると49.5%高い水準にあり、3年連続の減少となったものの、依然として高い水準にあることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約48.1%、土木工事が約51.9%となっており、5割以上を土木工事が占めていることが分かります。(下図参照)
中堅ゼネコン8社の受注高における建築工事割合が平均で約53%であることを踏まえると、大豊建設は中堅ゼネコンの中でも土木工事の比重が若干高いゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2021年度における売上高は1185億円と前年度より約3.1%の減少となりました。売上高は2011年度の739億円から2015年度の1023億円まで増加傾向で推移していますが、2016年度に933億円まで減少しました。その後は2017年度から4年連続の増加傾向で推移していましたが、2021年度に減少へ転じていることが分かります。また、この2021年度の水準は、底である2011年度の水準と比較すると約60.2%高い水準となっており、この10年間で3番目に高い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2021年度における大豊建設の繰越高は2255億円と前年度から約2.4%の減少となりました。繰越高は2011年度の955億円から2020年度まで堅調な増加傾向で推移し、2020年度に2309億円と過去10年間で最も高い水準となりましたが、2021年度は減少に転じています。この2021年度の水準は底となった2011年度の水準と比較して約136.0%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、この10年間で約2.4倍と非常大きく増加したことが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2021年度における大豊建設の手持ち工事月数は22.8ヵ月と、2020年度の22.7ヵ月より若干増加して、過去10年間で最も高い水準となった2018年度の23.7ヵ月に次いだ水準にあることが分かります。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2021年度における大豊建設の営業利益は59億円と前年度より約6.9%減少しました。営業利益は、底となった2012年度から2015年度の61億円まで増加傾向で推移した後、2016年度に58億円まで減少しましたが、2017年度に再び74億円まで増加しました。そして、営業利益は2019年度の60億円まで減少した後、2020年度は若干増加となったものの、2021年度は再び減少に転じていることが分かります。(下図参照)
また、2021年度の営業利益率は5.0%でした。営業利益率は、営業利益の推移と極めて類似した推移となっており、2017年度の7.0%を山として2019年度の5.0%まで下落した後、2020年度は上昇しましたが、2021年度は再び下落に転じていることが分かります。
5. 従業員の状況
2021年度における大豊建設の従業員数は1049人でした。また、従業員数は2013年度より8年連続で緩やかに増加していますが、概ね900から1000人で推移していることが読み取れます。(下図参照)
また、2021年度における従業員の平均年齢は45.1歳、平均勤続年数は19.3年、平均年収は799.3万円でした。
さらに大豊建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約107.7(百万円/人)、112.9(百万円/人)、214.9(百万円/人)、5.6(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【大豊建設の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 1130億円 | |
② 売上高 | 1185億円 | |
③ 繰越高 | 2255億円 | |
④ 営業利益 | 59億円 | |
⑤ 営業利益率 | 5.0% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 22.8ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 1049人 | |
⑧ 平均年齢 | 45.1歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 19.3年 | |
⑩ 平均年収 | 799.3万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 107.7(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 112.9(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 214.9(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 5.6(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 544億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 586億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 0億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして中堅ゼネコンである大豊建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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