東亜建設工業の状況|中堅ゼネコンの状況把握【2023年版】
【業績から把握する東亜建設工業|2023年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は中堅ゼネコンである東亜建設工業について紹介していきます。具体的には、2023年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2022年度における東亜建設工業の受注高は2955億円と前年度から約54.3%の増加となりました。受注高は2014年度の2377億円から2016年度の1309億円まで大きく減少した後、2018年度の2155億円まで2年連続の増加傾向で推移していました。そして、2019年度に2076億円まで減少した後、2020年度は過去10年間で最も高い水準となる2487億円まで増加しました。その後、2021年度の1916億円まで減少したものの、2022年度は再び増加に転じています。また、この2022年度の水準は、底となった2016年度の水準と比較すると約125.7%高い水準にあることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約26.0%、土木工事が約72.6%となっており、7割以上を土木工事が占めていることが分かります。(下図参照)
中堅ゼネコン8社の受注高における建築工事割合が平均で約52%であることを踏まえると、東亜建設工業は中堅ゼネコンの中でも特に土木工事の割合が高いゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2022年度における売上高は2032億円と前年度より約3.6%の減少となりました。売上高は、2011年度の1288億円から2015年度の1933億円まで増加傾向で推移した後、2017年度の1523億円まで減少しましたが、2019年度の1819億円まで2年連続で増加しました。そして、2020年度の1807億円まで僅かに減少した後、この10年間で最も高い水準となった2021年度の2107億円まで増加しますが、2022年度に再び減少に転じています。また、この2022年度の水準は、底となった2011年度の水準と比較すると約57.8%高い水準になっていることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2022年度における東亜建設工業の繰越高は3939億円と前年度から約31.1%の増加となりました。繰越高は2014年度の2155億円から2017年度の1719億円まで減少傾向で推移した後、2020年度の3188億円まで3年連続で増加していました。そこから、2021年度の3005億円まで減少した後、2022年度に再び増加へ転じ、直近の10年間で最も高い水準となっていることが読み取れます。また、2022年度の水準は、底となった2011年度の1450億円と比較して約171.7%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が約2.7倍と大きく増加したことが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2022年度における東亜建設工業の手持ち工事月数は23.3ヵ月と前年度の17.1ヵ月から増加し、この水準は過去10年間で最も高い水準となっていることが分かります。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2022年度における東亜建設工業の営業利益は58億円と前年度より約33.5%減少しました。営業利益は、過去10年間で最も高い水準となった2015年度の109億円から2017年度の25億円まで減少傾向で推移した後、2021年度の87億円まで4年連続で増加していましたが、2022年度は減少へ転じたことが分かります。(下図参照)
また、2022年度の営業利益率は2.8%でした。営業利益率の推移は、営業利益の推移と極めて類似しており、2015年度の5.7%を山として2017年度の1.6%まで下落した後、2021年度までは上昇傾向で推移していますが、2022年度は下落へ転じています。
5. 従業員の状況
2022年度における東亜建設工業の従業員数は1698人でした。また、従業員数は2011年度の1622人から2017年度の1530人まで非常に緩やかな減少傾向で推移していましたが、2018年度から5年連続で増加していることが読み取れます。(下図参照)
また、2022年度における従業員の平均年齢は45.0歳、平均勤続年数は19.4年、平均年収は927.8万円でした。
さらに東亜建設工業の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約174.0(百万円/人)、119.7(百万円/人)、232.0(百万円/人)、3.4(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【東亜建設工業の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 2955億円 | |
② 売上高 | 2032億円 | |
③ 繰越高 | 3939億円 | |
④ 営業利益 | 58億円 | |
⑤ 営業利益率 | 2.8% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 23.3ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 1698人 | |
⑧ 平均年齢 | 45.0歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 19.4年 | |
⑩ 平均年収 | 927.8万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 174.0(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 119.7(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 232.0(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 3.4(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 768億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 2145億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 42億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして中堅ゼネコンである東亜建設工業の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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