大豊建設の状況|中堅ゼネコンの状況把握【2023年版】
【業績から把握する大豊建設|2023年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回は中堅ゼネコンである大豊建設について紹介していきます。具体的には、2023年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに下記の観点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2022年度における大豊建設の受注高は1219億円と前年度から約7.8%の増加となりました。受注高は、2016年度の1288億円から2017年度の1141億円まで減少した後、2018年度の1483億円まで大きく増加しています。その後、2021年度の1130億円まで3年連続で減少していましたが、2022年度は増加に転じていることが読み取れます。この2022年度の水準は、直近10年間で底となった2011年度の756億円と比較すると61.2%高い水準にあることが分かります。(下図参照)
続いて、受注高の内訳構成を見てみると、建築工事が全体の約51.9%、土木工事が約48.1%となっており、5割近くを土木工事が占めていることが分かります。(下図参照)
中堅ゼネコン8社の受注高における建築工事割合が平均で約52%であることを踏まえると、大豊建設は建築工事と土木工事の割合が中堅ゼネコンの平均と極めて近いゼネコンであると言えます。
2. 売上高の状況
次に、2022年度における売上高は1157億円と前年度より約2.3%の減少となりました。売上高は、2011年度の739億円から2015年度の1023億円まで増加傾向で推移していますが、2016年度に933億円まで減少しました。その後は2017年度から4年連続の増加傾向で推移していましたが、2021年度から2年連続で減少していることが分かります。また、この2022年度の水準は、底である2011年度の水準と比較すると約56.5%高い水準となっており、この10年間で4番目に高い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)
3. 繰越高の状況
続いて、2022年度における大豊建設の繰越高は2316億円と前年度から約2.7%の増加となりました。繰越高は、2011年度の955億円から2020年度まで堅調な増加傾向で推移した後、2021年度の2255億円まで減少しましたが、2022年度は再び増加に転じています。この2022年度の水準は、底となった2011年度の水準と比較して約142.4%高い水準にあり、次期に繰り越されることになる手持ち工事の量が、2.4倍以上に非常大きく増加したことが分かります。(下図参照)
ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2022年度における大豊建設の手持ち工事月数は24.0ヵ月と、2021年度の22.8ヵ月より若干増加して、直近の10年間で最も高い水準となっていることが分かります。(下図参照)
4. 営業利益・営業利益率の状況
2022年度における大豊建設の営業利益は26億円と前年度より約56.8%減少しました。営業利益は、底となった2012年度から2015年度の61億円まで増加傾向で推移した後、2016年度に58億円まで減少しましたが、2017年度に再び74億円まで増加しました。そして、2019年度の60億円まで減少した後、2020年度の63億円まで若干増加したものの、2021年度から2年連続で減少していることが分かります。(下図参照)
また、2022年度の営業利益率は2.2%でした。営業利益率は、営業利益の推移と極めて類似した推移となっており、2017年度の7.0%を山として2019年度の5.0%まで下落した後、2020年度は上昇しましたが、2021年度から2年連続で下落していることが分かります。
5. 従業員の状況
2022年度における大豊建設の従業員数は1052人でした。また、従業員数は2013年度より9年連続で緩やかに増加していますが、概ね900から1000人前後で推移していることが読み取れます。(下図参照)
また、2022年度における従業員の平均年齢は45.1歳、平均勤続年数は19.4年、平均年収は807.9万円でした。
さらに大豊建設の業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約115.8(百万円/人)、110.0(百万円/人)、220.2(百万円/人)、2.4(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
ここで、今回採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【大豊建設の状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
---|---|---|
① 受注高 | 1219億円 | |
② 売上高 | 1157億円 | |
③ 繰越高 | 2316億円 | |
④ 営業利益 | 26億円 | |
⑤ 営業利益率 | 2.2% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 24.0ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 1052人 | |
⑧ 平均年齢 | 45.1歳 | |
⑨ 平均勤続年数 | 19.4年 | |
⑩ 平均年収 | 807.9万円 | |
⑪ 従業員あたり受注高 | 115.8(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑫ 従業員あたり売上高 | 110.0(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑬ 従業員あたり繰越高 | 220.2(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑭ 従業員あたり営業利益 | 2.4(百万円/人) | ④÷⑦ |
⑮ 受注高(建築) | 633億円 | |
⑯ 受注高(土木) | 586億円 | |
⑰ 受注高(その他) | 0億円 | ① -(⑮+⑯) |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、国内の主要なゼネコンとして中堅ゼネコンである大豊建設の状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。
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