ゼネコン規模別の比較|ゼネコン規模別の状況把握【2022年版】
【業績から比較するゼネコン規模別の状況|2022年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回はゼネコン規模別の観点からみた状況について紹介していきます。
具体的には、2022年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況をベースに、下記の点より比較して紹介します。
- 1. 受注高の比較
- 2. 売上高の比較
- 3. 繰越高の比較
- 4. 手持ち工事月数の比較
- 5. 営業利益の比較
- 6. 営業利益率の比較
- 7. 従業員数の比較
- 8. 平均年齢の比較
- 9. 平均勤続年の比較
- 10. 平均年収の比較
- 11. 従業員あたり受注高の比較
- 12. 従業員あたり売上高の比較
- 13. 従業員あたり繰越高の比較
- 14. 従業員あたり営業利益の比較
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の比較
まず、ゼネコン規模別の観点から受注高について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は1兆3130億円、準大手ゼネコン10社の平均は3823億円、中堅ゼネコン8社の平均は1504億円となりました。これより、平均的な受注高の観点より見たスーパーゼネコンの規模は準大手ゼネコンに対して約3.4倍、中堅ゼネコンに対しては約8.7倍の大きさとなっていることが読み取れます。(下図参照)
また、同様の観点で準大手ゼネコンは中堅ゼネコンに対して約2.5倍の規模となりました。なお、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ2792億円、5039億円となっています。
2. 売上高の比較
次に、ゼネコン規模別の観点から売上高について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は1兆2229億円、準大手ゼネコン10社の平均は3809億円、中堅ゼネコン8社の平均は1490億円となりました。これより、平均的な売上高の観点より見たスーパーゼネコンの規模は準大手ゼネコンに対して約3.2倍、中堅ゼネコンに対しては約8.2倍の大きさとなっていることが読み取れます。(下図参照)
同様の観点で準大手ゼネコンは中堅ゼネコンに対して約2.6倍の規模とっています。なお、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ2778億円、4833億円でした。
3. 繰越高の比較
続いて、ゼネコン規模別の観点から繰越高について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は2兆7億円、準大手ゼネコン10社の平均は6244億円、中堅ゼネコン8社の平均は2237億円となりました。これより、平均的な繰越高の観点より見たスーパーゼネコンの規模は準大手ゼネコンに対して約3.2倍、中堅ゼネコンに対しては約8.9倍の規模であることが読み取れます。(下図参照)
また、同様の観点で準大手ゼネコンは中堅ゼネコンに対して約2.8倍の大きさでありました。なお、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ4463億円、7842億円となっています。
4. 手持ち工事月数の比較
さらに、ゼネコン規模別の観点から手持ち工事月数について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は19.6ヵ月、準大手ゼネコン10社の平均は19.7ヵ月、中堅ゼネコン8社の平均は18.0ヵ月でした。(下図参照)
これより、準大手ゼネコン10社が最も手持ち工事月数が長いゼネコン規模となり、続いてスーパーゼネコン5社、そして中堅ゼネコン8社が最も手持ち工事月数の短いゼネコン規模となっていることが分かります。なお、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ19.3ヵ月と19.5ヵ月でした。
5. 営業利益の比較
ここで、ゼネコン規模別の観点から営業利益について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は460億円、準大手ゼネコン10社の平均は180億円、中堅ゼネコン8社の平均は64億円となりました。これより、平均的な営業利益の観点より見たスーパーゼネコンの規模は、準大手ゼネコンに対して約2.6倍、中堅ゼネコンに対しては約7.2倍の大きさであることが読み取れます。(下図参照)
同様の観点で準大手ゼネコンは中堅ゼネコンに対して約2.8倍の規模となっています。また、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ128億円、201億円でした。
6. 営業利益率の比較
一方、ゼネコン規模別の観点から営業利益率について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は3.8%、準大手ゼネコン10社の平均は4.7%、中堅ゼネコン8社の平均は4.3%でした。(下図参照)
これより、準大手ゼネコン10社が最も営業利益率が高いゼネコン規模となり、続いて中堅ゼネコン8社、そしてスーパーゼネコン5社は最も営業利益率の低いゼネコン規模であることが分かります。また、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ4.6%、4.1%となっています。
7. 従業員数の比較
ここで、ゼネコン規模別の平均的な従業員数について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は9704人、準大手ゼネコン10社の平均は3553人、中堅ゼネコン8社の平均は1547人となりました。これより、平均的な従業員数の観点より見たスーパーゼネコンの規模は準大手ゼネコンに対して約2.7倍、中堅ゼネコンに対しては約6.3倍大きいゼネコンであることが読み取れます。(下図参照)
同様の観点で準大手ゼネコンは中堅ゼネコンに対して約2.3倍の規模のゼネコンであると言えます。なお、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均の従業員数はそれぞれ2661人、4192人でした。
8. 平均年齢の比較
続いて、ゼネコン規模別の平均年齢について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は43.3歳、準大手ゼネコン10社の平均は43.5歳、中堅ゼネコン8社の平均は43.1歳となりました。(下図参照)
また、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均年齢はそれぞれ43.4歳、43.4歳でありました。
9. 平均勤続年の比較
ゼネコン規模別の平均勤続年数について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は17.5年、準大手ゼネコン10社の平均は18.0年、中堅ゼネコン8社の平均は17.8年となりました。(下図参照)
これより、規模別の観点でみた平均勤続年数は17.5年から18.0年までの非常に狭い範囲にあることが読み取れます。なお、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均勤続年数はそれぞれ17.9年、17.7年でありました。
10. 平均年収の比較
ここで、ゼネコン規模別の観点から平均年収について比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は1017.5万円、準大手ゼネコン10社の平均は867.5万円、中堅ゼネコン8社の平均は856.5万円でした。これより、スーパーゼネコンにおける平均年収の水準は準大手ゼネコンに対して約150万円、中堅ゼネコンに対しては約160万円高い水準にあることが読み取れます。(下図参照)
また、同様の観点で準大手ゼネコンにおける平均年収は中堅ゼネコンに対して約10万円高い水準にあることが分かります。なお、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ864.6万円、941.6万円となっています。
11. 従業員あたり受注高の比較
ゼネコン規模別に従業員あたり受注高を比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は135.3百万円/人、準大手ゼネコン10社の平均は107.6百万円/人、中堅ゼネコン8社の平均は97.3百万円/人でした。(下図参照)
また、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ104.9百万円/人と120.2百万円/人になっています。
12. 従業員あたり売上高の比較
続いて、ゼネコン規模別に従業員あたり売上高を比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は126.0百万円 /人、準大手ゼネコン10社の平均は107.2百万円 /人、中堅ゼネコン8社の平均は96.3百万円 /人でありました。(下図参照)
また、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ104.4百万円 /人と115.3百万円 /人となっています。
13. 従業員あたり繰越高の比較
さらにゼネコン規模別に従業員あたり繰越高を比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は206.2百万円 /人、準大手ゼネコン10社の平均は175.7百万円 /人、中堅ゼネコン8社の平均は144.6百万円 /人でした。(下図参照)
そして、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ167.7百万円 /人と187.1百万円 /人となっています。
14. 従業員あたり営業利益の比較
ここで、ゼネコン規模別に従業員あたり営業利益を比較してみると、スーパーゼネコン5社の平均は4.7百万円 /人、準大手ゼネコン10社の平均は5.1百万円/人、中堅ゼネコン8社の平均は4.1百万円 /人となっています。(下図参照)
また、準大手・中堅ゼネコン18社、大手ゼネコン23社における平均はそれぞれ4.8百万円 /人と4.8百万円 /人でした。
参考|主要データ一覧
最後に、今回対象とした規模別のゼネコン大手23社と採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【対象としたゼネコン大手23社】
ゼネコン規模 | 会社名 |
スーパーゼネコン | 清水建設 大成建設 大林組 鹿島建設 竹中工務店 |
準大手ゼネコン | 五洋建設 長谷工コーポレーション 戸田建設 熊谷組 前田建設工業 西松建設 三井住友建設 安藤ハザマ 東急建設 フジタ |
中堅ゼネコン | 奥村組 鉄建建設 東洋建設 東亜建設工業 淺沼組 飛島建設 錢高組 大豊建設 |
【ゼネコン規模別の状況比較|主要データ一覧】
項目 | スーパーゼネコン | 準大手ゼネコン | 中堅ゼネコン | 準大手・中堅ゼネコン18社 | 大手ゼネコン23社 |
① 受注高 | 6兆5649億円 | 3兆8227億円 | 1兆2032億円 | 5兆259億円 | 11兆5908億円 |
② 売上高 | 6兆1147億円 | 3兆8089億円 | 1兆1918億円 | 5兆7億円 | 11兆1154億円 |
③ 繰越高 | 10兆33億円 | 6兆2439億円 | 1兆7894億円 | 8兆333億円 | 18兆0366億円 |
④ 営業利益 | 2300億円 | 1799億円 | 513億円 | 2312億円 | 4612億円 |
⑤ 営業利益率 | 3.8% | 4.7% | 4.3% | 4.6% | 4.1% |
⑥ 手持ち工事月数 | 19.6ヵ月 | 19.7ヵ月 | 18.0ヵ月 | 19.3ヵ月 | 19.5ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 4万8520人 | 3万5530人 | 1万2372人 | 4万7902人 | 9万6422人 |
⑧ 受注高(平均) | 1兆3130億円 | 3823億円 | 1504億円 | 2792億円 | 5039億円 |
⑨ 売上高(平均) | 1兆2229億円 | 3809億円 | 1490億円 | 2778億円 | 4833億円 |
⑩ 繰越高(平均) | 2兆7億円 | 6244億円 | 2237億円 | 4463億円 | 7842億円 |
⑪ 営業利益(平均) | 460億円 | 180億円 | 64億円 | 128億円 | 201億円 |
⑫ 従業員数(平均) | 9704人 | 3553人 | 1547人 | 2661人 | 4192人 |
⑬ 平均年齢(注1) | 43.3歳 | 43.5歳 | 43.1歳 | 43.4歳 | 43.4歳 |
⑭ 平均勤続年数(注1) | 17.5年 | 18.0年 | 17.8年 | 17.9年 | 17.7年 |
⑮ 平均年収(注1) | 1017.5万円 | 867.5万円 | 856.5万円 | 864.6万円 | 941.6万円 |
⑯ 従業員あたり受注高 | 135.3百万円/人 | 107.6百万円/人 | 97.3百万円/人 | 104.9百万円/人 | 120.2百万円/人 |
⑰ 従業員あたり売上高 | 126.0百万円/人 | 107.2百万円/人 | 96.3百万円/人 | 104.4百万円/人 | 115.3百万円/人 |
⑱ 従業員あたり繰越高 | 206.2百万円/人 | 175.7百万円/人 | 144.6百万円/人 | 167.7百万円/人 | 187.1百万円/人 |
⑲ 従業員あたり営業利益 | 4.7百万円/人 | 5.1百万円/人 | 4.1百万円/人 | 4.8百万円/人 | 4.8百万円/人 |
注1)前田建設工業はインフロニア・ホールディングスの値に基づいて作成。
注2)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、ゼネコン規模別の観点から、受注高や売上高といった業績の状況をベースに比較して紹介しました。
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