スーパーゼネコンの状況|ゼネコン規模別の状況把握【2023年版】
【業績から把握するスーパーゼネコン|2023年版】
国内の主要なゼネコンの状況を業績などから把握する「ゼネコンの状況」シリーズ、今回はゼネコン規模別の観点から、スーパーゼネコンの状況について紹介していきます。
具体的には、2023年3月期決算における受注高や売上高、繰越高といった業績の状況や傾向をベースに以下の点より紹介します。
- 1. 受注高の状況
- 2. 売上高の状況
- 3. 繰越高の状況
- 4. 営業利益と営業利益率の状況
- 5. 従業員の状況
- 参考|主要データ一覧
1. 受注高の状況
まず、2022年度におけるスーパーゼネコン5社の受注高は平均で1兆4219億円と前年度から約8.3%の増加となりました。受注高は2012年度の1兆388億円から2013年度の1兆2272億円まで増加した後、2014年度から2017年度まで1兆3000億円前後の水準で推移しました。(下図参照)
また、受注高は2018年度に1兆3874億円と、この10年間で2番目に高い水準となった後、2019年度から2年連続の減少となっていましたが、2021年度より2年連続で増加しています。なお、2022年度の受注高の水準は、底となった2011年度の水準と比較してみると約37.6%高い水準にあり、この10年間で最も高い水準にあることが分かります。
ここで、スーパーゼネコンの業界シェアを受注高ベースで見てみると、建設業全体のうちスーパーゼネコン5社の占める割合は9.3%となっております。(下図参照)
国内の建設業者数が約47万社であることを踏まえると、スーパーゼネコンが5社で占める業界シェアは非常に大きく、建設需要に対して強い影響力があることが分かります。
2. 売上高の状況
次に、2022年度における売上高は平均で1兆3491億円と前年度から約10.3%の増加となりました。売上高は2011年度の1兆170億円から2015年度の1兆2079億円まで増加傾向で推移した後、2016年度に1兆1863億円と減少しました。(下図参照)
その後、売上高は2019年度の1兆3205億円まで3年連続増加しました。2020年度は1兆1572億円の水準まで減少しましたが、2021年度より2年連続の増加となっています。なお、2022年度の売上高は、底であった2011年度の水準と比較してみると約32.7%高い水準にあり、この10年間で最も高い水準にあることが読み取れます。
3. 繰越高の状況
続いて、2022年度におけるスーパーゼネコンの繰越高は平均で2兆735億円と前年度から約3.6%の増加となりました。繰越高は底であった2012年度の1兆2188億円から2018年度まで6年連続で継続的な右肩上がりの増加傾向で推移した後、2019年度に減少しましたが、2020年度から3年連続で増加しています。(下図参照)
この2022年度の繰越高の水準は、過去10年間で最も高い水準となっており、底であった2012年度の水準と比較して約70.1%も高い水準にあることが分かります。

ここで、建設会社が期末時点で「繰越高」として抱えている手持ち工事を解消する為に必要な期間を示す「手持ち工事月数」と呼ばれる指標についても見ていきます。
2022年度におけるスーパーゼネコンの手持ち工事月数は18.4ヵ月と、前年度の水準と比較して1.2ヶ月減少したものの、直近の10年間で3番目に高い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)
なお、手持ち工事月数が減少となったのは、繰越高が過去10年間で最も高い水準となったものの、売上高も増加し、売上高の増加率が繰越高の増加率を上回った為です。
4. 営業利益・営業利益率の状況
2022年度におけるスーパーゼネコンの営業利益は460億円と前年度より横ばいでした。営業利益は底となっていた2012年度の67億円から2017年度の1207億円まで5年連続の増加傾向にありましたが、2018年度から4年連続の減少、2022年度は横ばい推移となっています。(下図参照)
また、2022年度の営業利益率は3.4%となりました。営業利益率は営業利益の推移を反映する形で2012年度を底として5年連続で2017年度の10.1%まで上昇した後、2018年度から5年連続で下落しているこが分かります。
5. 従業員の状況
2022年度におけるスーパーゼネコンの従業員数は平均で9805人と2014年度より8年連続の非常に穏やかな増加傾向で推移していることが読み取れます。(下図参照)
また、2021年度のスーパーゼネコンにおける従業員の平均年齢は43.4歳、平均勤続年数は17.5年、平均年収は1034.2万円でした。
さらにスーパーゼネコンの業績について従業員一人あたりの水準で見てみると、従業員あたり受注高、売上高、繰越高、営業利益は、それぞれ約145.0(百万円/人)、137.6(百万円/人)、211.5(百万円/人)、4.7(百万円/人)となっています。(下図参照)
参考|主要データ一覧
最後に、今回対象としたスーパーゼネコン5社と採用されたデータのうち主要なデータについて、参考として一覧表で以下に紹介します。
【対象としたスーパーゼネコン5社】
ゼネコン規模 | 会社名 |
スーパーゼネコン | 清水建設 大成建設 大林組 鹿島建設 竹中工務店 |
【スーパーゼネコンの状況|主要データ一覧】
項目 | 値 | 備考 |
① 受注高 | 7兆1097億円 | 5社の総額 |
② 売上高 | 6兆7455億円 | 5社の総額 |
③ 繰越高 | 10兆3675億円 | 5社の総額 |
④ 営業利益 | 2302億円 | 5社の総額 |
⑤ 営業利益率 | 3.4% | ④÷② |
⑥ 手持ち工事月数 | 18.4ヵ月 | ③÷②×12ヵ月 |
⑦ 従業員数 | 49,023人 | 5社の総数 |
⑧ 受注高(平均) | 1兆4219億円 | ①÷5社 |
⑨ 売上高(平均) | 1兆3491億円 | ②÷5社 |
⑩ 繰越高(平均) | 2兆735億円 | ③÷5社 |
⑪ 営業利益(平均) | 460億円 | ④÷5社 |
⑫ 従業員数(平均) | 9805人 | ⑦÷5社 |
⑬ 平均年齢 | 43.4歳 | 総年齢÷⑦ |
⑭ 平均勤続年数 | 17.5年 | 総年数÷⑦ |
⑮ 平均年収 | 1034.2万円 | 総年収÷⑦ |
⑯ 従業員あたり受注高 | 145.0(百万円/人) | ①÷⑦ |
⑰ 従業員あたり売上高 | 137.6(百万円/人) | ②÷⑦ |
⑱ 従業員あたり繰越高 | 211.5(百万円/人) | ③÷⑦ |
⑲ 従業員あたり営業利益 | 4.7(百万円/人) | ④÷⑦ |
注)値は「単独」に基づく。
以上のように、今回は「ゼネコンの状況」シリーズとして、ゼネコン規模別の観点からスーパーゼネコンの状況について、受注高や売上高といった業績の状況や傾向をベースに紹介しました。

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