事務所の建築費は坪単価でどの程度の水準か?【2018年版】
【坪単価で把握する事務所の建築費|2018年版】
国内に建設される建物の建築費を坪単価から把握する「坪単価で把握する建築費特集」、今回は「事務所」の場合として、2017年の国内における建築費の水準について坪単価をベースに紹介していきたいと思います。
構造別でみた事務所の坪単価は鉄骨造で約103.5万円/坪の水準に!
まず、全国における事務所の建築費を構造別でみてみると、坪単価が最も高い水準となったのは鉄骨鉄筋コンクリート造の場合で154.7(万円/坪)でした。次いで鉄筋コンクリート造、鉄骨造がそれぞれ110.6(万円/坪)、103.5(万円/坪)の水準になりました。一方、木造の場合は、坪単価が56.1(万円/坪)とここで取り上げた4種類の構造において最も低い水準となりました。(下図1参照)
また、図1において、全構造平均の坪単価は104.5(万円/坪)と鉄骨造の場合の水準と近い水準となっていますが、これは、国内における事務所建築の約7割が鉄骨造として建設されていることに影響を受けている為と考えられます。(下図2参照)
都道府県別でみた事務所の坪単価、最も高い水準は東京、次いで神奈川が高水準に!
2017年における事務所の建築費を都道府県別に見てみると、最も高い水準は東京の146.6(万円/坪)で、神奈川の126.0(万円/坪)、青森の110.1(万円/坪)、埼玉の95.8(万円/坪)がこれに続きました。一方、坪単価が最も低い水準は福井の51.0(万円/坪)で、次いで宮崎の56.1(万円/坪)、沖縄の57.4(万円/坪)となっています。(下図3参照)
なお、都道府県別の事務所の建築費を比較するベースは、最も多く採用される鉄骨造としております。
事務所の建築費は東京、全国で2012年から上昇傾向に!
①東京都における事務所建築費の傾向は!?
2011年から2017年までの東京都における事務所の建築費水準を見てみると、底となった2012年の88.4(万円/坪)から2013年の98.5(万円/坪)へ約11%上昇しました。そして、2014年まで概ね横ばいで推移した後、2015年の112.6(万円/坪)から2016年の144.7(万円/坪)までに大きく高騰しています。但し、2017年の時点では146.6(万円/坪)と2016年の水準からは横ばいやや上昇の傾向で推移しています。(下図4参照)
②全国における事務所建築費の傾向は!?
同様に、全国における事務所の建築費水準を見てみると、底となった2012年の65.6(万円/坪)から2013年の73.2(万円/坪)へ約12%上昇しています。さらに、2014年の73.7(万円/坪)から2015年の91.5(万円/坪)まで大きく上昇しました。その後は、2016年までに95.3(万円/坪)、2017年の時点で103.5(万円/坪)と継続した上昇傾向にあります。(下図5参照)
今回は「坪単価で把握する建築費特集」シリーズの2回目として、建物用途が事務所の場合における建築費の水準について、坪単価で紹介しました。
また、今回のコラムで紹介しました統計データを活用して建築費の水準を把握する方法は、全国や都市別といった大きな市場における「建築費」について、その水準やトレンドを掴む方法としては適している一方、個別性の強いプロジェクトや高い精度を求める場合にはあまり向いていない方法であることについても触れておきます。
その為、こちらの「建築費」の水準や傾向を把握するアプローチに関するコラムを参考に、目的に適ったアプローチで「建築費」の水準や傾向を把握することが重要となります。
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