アーキブックコスト

住宅の建築費は坪単価でどの程度の水準か?【2025年版】

【坪単価で把握する住宅の建築費2025年版】
国内に建設される建物の建築費を坪単価から把握する「坪単価で把握する建築費特集」、今回は建物用途が住宅の場合として、2024年の国内における建築費の水準について坪単価をベースに紹介していきたいと思います。

住宅の建築費は坪単価でどの程度の水準か?-坪単価で把握する建築費(1)

構造別でみた住宅の坪単価は木造で坪あたり71.1万円の水準に


まず、2024年の全国における住宅の建築費を構造別でみてみると、坪単価が最も高い水準となったのは鉄骨鉄筋コンクリート造の場合で111.8(万円/坪)でした。次いで鉄筋コンクリート造、鉄骨造がそれぞれ110.1(万円/坪)、102.8(万円/坪)の水準になりました。一方、木造の場合は、坪単価が71.1(万円/坪)と、ここで取り上げた4種類の構造において最も低い水準となっています。(下図参照)


建設費水準(万円/坪)|住宅(全国)構造別


また、上図において、全構造平均の坪単価は82.4(万円/坪)と木造と鉄骨造の水準の間に位置していますが、これは、国内における住宅建築の約67%が木造として建設されていることに影響を受けている為と考えられます。(下図参照)


住宅建築の構造別割合


都道府県別でみた住宅の坪単価は?


①木造住宅の建築費が最も高い水準は長野に、続いて島根、山梨、高知が高水準に

木造住宅の建築費の水準を都道府県別に見てみると、最も高い水準となったのは長野で88.2(万円/坪)でした。そして、島根、山梨、高知がそれぞれ82.2(万円/坪)、80.6(万円/坪)、79.5(万円/坪)と続いています。また、東京における坪単価の水準は75.1(万円/坪)でした。(下図参照)


建設費水準(万円/坪|木造 住宅


一方、木造住宅で坪単価が最も低い水準であったのは埼玉の63.5(万円/坪)、次いで大阪の63.9(万円/坪)、沖縄の65.1(万円/坪)、和歌山の66.3(万円/坪)となっています。

②鉄筋コンクリート造住宅の坪単価は山口が最も高い水準に

2024年の鉄筋コンクリート造住宅における建築費の水準を都道府県別に見てみると、最も高い水準は山口の193.1(万円/坪)、次いで長野、山梨、東京、高知がそれぞれ170.4(万円/坪)、145.0(万円/坪)、140.5(万円/坪)、132.9(万円/坪)の水準となっています。山口、長野、山梨、東京と高知を除く地域における坪単価が120.0(万円/坪)未満であることを踏まえると、これら5地域における水準が突出して高いことが分かります。

一方、坪単価が最も低い水準となったのは北海道の70.4(万円/坪)で、群馬の72.0(万円/坪)、香川の73.0(万円/坪)、熊本の78.5(万円/坪)が続いています。このように、鉄筋コンクリート造の場合における住宅の建築費水準は、木造の場合と異なり、都道府県の間で乖離が大きいことが読み取れます。(下図参照)


建設費水準(万円/坪)|鉄筋コンクリート造 住宅


③鉄骨造住宅の建築費は東京が最も高水準に

2024年の鉄骨造住宅における建築費の水準を都道府県別に見てみると、最も高い水準になったのは東京の125.0(万円/坪)で、神奈川の116.6(万円/坪)、沖縄の116.2(万円/坪)、石川の107.1(万円/坪)がこれに続きました。一方、坪単価が最も低い水準となったのは山形の57.2(万円/坪)、次いで徳島の80.0(万円/坪)、鹿児島の82.2(万円/坪)、北海道の83.9(万円/坪)となっています。(下図参照)


建設費水準(万円/坪)|鉄骨造 住宅


東京や全国における住宅建築費の傾向は?


①木造住宅の建築費は東京、全国で上昇へ

2011年から2024年までの東京における木造住宅の建築費水準を見てみると、底となった2013年の57.2(万円/坪)から2019年の58.5(万円/坪)まで上昇傾向にあります。その後、2021年の57.2(万円/坪)まで2年連続で下落していましたが、2022年は57.3(万円/坪)と上昇に転じ、2024年は75.1(万円/坪)と2年連続で大幅に上昇しています。東京における木造住宅の建築費水準は、2011年から2022年まで大きく変動することなく、概ね坪あたり57万円から58万円前後の水準で推移していましたが、2023年から2024年にかけて大きく上昇したことが読み取れます(下図参照)


建設費水準(万円/坪)|木造住宅(東京都)


一方、全国における木造住宅の建築費水準を見てみると、2011年の52.2(万円/坪)から2022年の58.0(万円/坪)まで年々右肩上がりで推移しており、この11年間に建築費は坪あたりでは約5.8万円高い水準へ、上昇率でみると約11.0%上昇しています。そして、2023年における建築費の水準は66.0(万円/坪)と、東京の場合と同様に、前年比で約13.8%と大きく上昇し、2024年の水準は71.1(万円/坪)と前年比で約7.7%上昇しています。(下図参照)


建設費水準(万円/坪)|木造住宅(全国)


②鉄筋コンクリート造住宅の建築費は東京と全国で上昇に

次に、2011年から2024年までの東京における鉄筋コンクリート造住宅の建築費水準を見てみると、底となった2011年の71.6(万円/坪)から2017年の106.7(万円/坪)へ約49%と大きく上昇しました。その後、2018年に102.4(万円/坪)の水準へ若干下落したものの、2020年の107.3(万円/坪)まで2年連続で上昇しています。そこから2021年の107.0(万円/坪)まで再び下落しましたが、2022年は110.4(万円/坪)と上昇に転じ、2023年は121.4(万円/坪)まで上昇、2024年は140.5(万円/坪)まで上昇していることが分かります。(下図参照)


建設費水準(万円/坪)|鉄筋コンクリート造 住宅(東京都)


続いて、全国における鉄筋コンクリート造住宅の建築費水準を見てみると、2012年の59.7(万円/坪)から2017年の80.6(万円/坪)まで約35%と大きく上昇しています。その後、2018年に80.2(万円/坪)と僅かに下落したものの、2024年の110.1(万円/坪)まで6年連続で上昇していることが読み取れます。(下図参照)


建設費水準(万円/坪)|鉄筋コンクリート造 住宅(全国)


③鉄骨造住宅の建築費は東京と全国で共に上昇傾向が継続

木造住宅や鉄筋コンクリート造住宅と同様に、東京における鉄骨造住宅の建築費水準を見てみると、2011年の76.6(万円/坪)から右肩上がりの上昇傾向で推移し、2024年の時点で125.0(万円/坪)と13年間で約63.2%上昇していることが分かります。(下図参照)


建設費水準(万円/坪)|鉄骨造 住宅(東京都)


また、全国における鉄骨造住宅の建築費水準を見てみると、東京の場合と同様に2011年の65.1(万円/坪)を底として2024年の102.8(万円/坪)まで継続的に上昇し、この13年間で約57.9%上昇していることが分かります。(下図参照)


建設費水準(万円/坪)|鉄骨造 住宅(全国)


このように、住宅における建築費水準の傾向は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の場合では変動が大きく、木造においても2024年は大きく変動したことが読み取れます。

以上のように、今回は「坪単価で把握する建築費」シリーズとして、建物用途が住宅の場合における建築費の水準について坪単価をベースに紹介しました。

また、今回のコラムで紹介しました統計データを活用して建築費の水準を把握する方法は、全国や都市別といった大きな市場における「建築費」について、その水準やトレンドを掴む方法としては適している一方、個別性の強いプロジェクトや高い精度を求める場合にはあまり向いていない方法であることについても触れておきます。

その為、こちらの「建築費」の水準や傾向を把握するアプローチに関するコラムを参考に、目的に適ったアプローチで「建築費」の水準や傾向を把握することが重要となります。


アーキブックコスト概算算出クラウドサービス


実務で役立つ建築費の相場【最新版】TOPへ
実務で役立つゼネコンの状況把握【最新版】TOPへ
業績から把握するデベロッパーランキング【最新版】TOPへ
職選びで役に立つ建設業の年収相場【最新版】TOPへ
購入の検討に役立つ住宅価格の相場【最新版】TOPへ

過去データを見る|実務で役立つ建築費の相場【過去データ】TOPへ

参考|主要データ一覧


住宅の建築費水準|木造
都道府県坪単価
長野県88.2(万円/坪)
島根県82.2(万円/坪)
山梨県80.6(万円/坪)
高知県79.5(万円/坪)
北海道79.2(万円/坪)
三重県78.4(万円/坪)
富山県77.8(万円/坪)
岡山県77.7(万円/坪)
新潟県77.5(万円/坪)
石川県77.1(万円/坪)
山形県76.9(万円/坪)
鳥取県76.5(万円/坪)
山口県76.5(万円/坪)
岩手県75.7(万円/坪)
東京都75.1(万円/坪)
徳島県74.4(万円/坪)
静岡県74.3(万円/坪)
福井県74.2(万円/坪)
香川県74.0(万円/坪)
愛媛県73.6(万円/坪)
岐阜県73.6(万円/坪)
栃木県73.0(万円/坪)
青森県72.2(万円/坪)
大分県72.0(万円/坪)
福島県71.9(万円/坪)
秋田県71.8(万円/坪)
長崎県71.8(万円/坪)
京都府71.7(万円/坪)
佐賀県71.4(万円/坪)
鹿児島県71.4(万円/坪)
群馬県70.7(万円/坪)
茨城県70.6(万円/坪)
熊本県70.3(万円/坪)
奈良県69.9(万円/坪)
広島県69.3(万円/坪)
滋賀県69.1(万円/坪)
兵庫県68.9(万円/坪)
宮城県68.7(万円/坪)
千葉県68.6(万円/坪)
宮崎県68.1(万円/坪)
愛知県68.0(万円/坪)
神奈川県68.0(万円/坪)
福岡県66.7(万円/坪)
和歌山県66.3(万円/坪)
沖縄県65.1(万円/坪)
大阪府63.9(万円/坪)
埼玉県63.5(万円/坪)
全国平均71.1(万円/坪)
出典|建築着工統計調査(国交省)に基づいて作成(2024年時点)
※建築費(万円/坪)は工事費予定額(円)を床面積(坪)で除した値で消費税は含まない
注)坪単価を算出する際に対象としたデータについて、建物数が10棟未満の場合は、ばらつきを考慮して対象外とした。

アーキブックコスト概算算出クラウドサービス

「坪単価で把握する住宅価格の相場」はこちらから↓
住宅価格の相場は購入価格や坪単価でどの程度の水準か?
東京の住宅価格はどの程度の水準か?
神奈川の住宅価格はどの程度の水準か?
千葉の住宅価格はどの程度の水準か?
埼玉の住宅価格はどの程度の水準か?
大阪の住宅価格はどの程度の水準か?
福岡の住宅価格はどの程度の水準か?
北海道の住宅価格はどの程度の水準か?
沖縄の住宅価格はどの程度の水準か?

「坪単価で把握する建築費」はこちらから↓
戸建て住宅の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
賃貸アパートの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
シェアハウスの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
マンションの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
住宅の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
事務所の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
工場の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
倉庫の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
商業店舗の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
ホテルの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
病院の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
福祉介護施設の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
学校の建築費は坪単価でどの程度の水準か?

「関連記事-面白いほどよくわかる建設市場-需要編」はこちらから↓
(1)主力とするターゲットや商品開発を建設需要から導こう!
(2)知りたい情報に辿り着ける3つのアプローチ!
(3)簡単に無料で手に入る「統計データ」を積極的に活用しよう!
(4)需要の傾向を読み解いて市場の先行きを考えよう!
(5)「影響要因」を把握して説得力のある需要予測を導き出そう!

「関連記事-面白いほどよくわかる建設市場-供給編」はこちらから↓
(1)色々な視点から「建設業者の忙しさ」を把握しよう!
(2)「建設業者の忙しさ」を把握する具体的なアプローチとは!
(3)「建設業者の忙しさ」は業者の規模別に把握しよう!
(4)建設業者の供給状況を見抜いて実プロジェクトに応用しよう!

「関連記事-面白いほどよくわかる建設市場-価格編」はこちらから↓
(1)「建築費」とは!?と聞かれたら!
(2)「建築費」ってどうやって算出されるの!?
(3)実務で使われる「概算」の方法とは!?
(4)「建築費」に影響を与える要因とは!?
(5)「建築費」の水準や傾向を把握するアプローチとは!?

「関連記事-面白いほどよくわかる建設市場-建設市場予測編」はこちらから↓
(1)「建設市場」は「予想」でなく「予測」しよう!
(2)建築費が高騰/下落する仕組みとは!?
(3)建築費がいつ頃下落するか予測しよう!

「関連記事-海外建設市場シリーズ」はこちらから↓
(1)世界62か国で建設費が最も高い水準なのは!?
(2)世界の建設市場における労務費を比べてみる!
(3)世界における建設市場規模はどの程度か!?

「関連記事-建設統計からみた建設市場シリーズ」はこちらから↓
(1)2016年の「建築需要」と「建築費」の水準は!?
(2)建設市場における「受注高」「施工高」「未消化工事高」の水準は!?

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

記事を気に入ったらシェア!

合わせて読みたい

オススメの最新記事

この記事と同じカテゴリの質問


アーキブックコスト

コラムカテゴリ

カテゴリー

専門家の種類

建物用途

資格

課題解決

サイトニュース

2016.7.19
「アーキブック」をリリースしました。