病院の建築費は坪単価でどの程度の水準か?【2018年版】
【坪単価で把握する病院の建築費|2018年版】
国内に建設される建物の建築費を坪単価から把握する「坪単価で把握する建築費特集」、今回は建物が「病院」の場合として、2017年の国内における建築費の水準について坪単価をベースに紹介していきたいと思います。
病院の建築費、坪単価は鉄骨造で約94.6万円/坪の水準に!
まず、全国における病院の建築費を構造別でみてみると、鉄骨鉄筋コンクリート造の場合で126.5(万円/坪)と最も高い水準に、次いで、鉄筋コンクリート造で118.9(万円/坪)、鉄骨造では94.6(万円/坪)となっています。一方で、木造の場合は67.7(万円/坪)と最も低い水準となっています。(下図1参照)
また、図1において、全構造平均の坪単価は104.3(万円/坪)と鉄筋コンクリート造と鉄骨造の概ね間の水準に位置していますが、これは、国内における病院建築の約8割以上が鉄筋コンクリート造や鉄骨造として建設されていることに影響を受けている為と考えられます。(下図2参照)
都道府県別でみた病院の坪単価、最も高い水準は宮城、次いで三重、茨城が高水準に!
2017年の病院における建築費の水準を都道府県別に見てみると、最も高い水準は宮城の161.8(万円/坪)で、次いで三重の138.2(万円/坪)、茨木の117.5(万円/坪)となっています。これより、宮城と三重における建築費の水準は、他の地域と比較して非常に高い水準であることが分かります。一方、坪単価が最も低い水準は鹿児島の49.7(万円/坪)で、次いで群馬の64.3(万円/坪)になります。(下図3参照)
病院の建築費、東京都、全国で2017年は下落の傾向に!
①東京都における病院建築費の傾向は!?
2017年までの東京都における病院の建築費水準を見てみると、2011年の64.1(万円/坪)から2014年の97.4(万円/坪)まで継続的な上昇傾向で推移し、その後、2015年に下落するも再び2016年に118.4(万円/坪)の水準まで大きく上昇しました。そして、2017年の時点では99.7(万円/坪)まで下落して推移しています。(下図4参照)
②全国における病院建築費の傾向は!?
同様に、全国における病院の建築費水準を見てみると、2012年の64.3(万円/坪)から継続的に上昇し、2016年の101.7(万円/坪)まで大きく上昇しています。しかしながら、東京都における病院の建築費と同様に、2017年には94.6(万円/坪)と下落して推移していることが分かります。(下図5参照)
今回は「坪単価で把握する建築費」シリーズの7回目として、建物用途が「病院」の場合における建築費の水準について、坪単価で紹介しました。
なお、今回のコラムで紹介しました統計データを活用して建築費の水準を把握する方法は、全国や都市別といった大きな市場における「建築費」について、その水準やトレンドを掴む方法としては適している一方、個別性の強いプロジェクトや高い精度を求める場合にはあまり向いていない方法であることについても触れておきます。
その為、こちらの「建築費」の水準や傾向を把握するアプローチに関するコラムを参考に、目的に適ったアプローチで「建築費」の水準や傾向を把握することが重要となります。
注)坪単価を算出する際に対象としたデータについて、建物数が10棟未満の場合については、ばらつきを考慮して対象から抜いている。
◇実務で役立つ建築費の相場【2019年版】TOPへ
◇購入の検討に役立つ住宅価格の相場【2018年版】TOPへ
◇職選びで役に立つ建設業の年収相場【2018年版】TOPへ

「坪単価で把握する建築費」はこちらから↓
・戸建て住宅の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
・賃貸アパートの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
・シェアハウスの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
・マンションの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
・住宅の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
・事務所の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
・工場の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
・倉庫の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
・商業店舗の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
・ホテルの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
・病院の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
・福祉介護施設の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
・学校の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
「関連記事①-面白いほどよくわかる建設市場-需要編」はこちらから↓
(1)主力とするターゲットや商品開発を建設需要から導こう!
(2)知りたい情報に辿り着ける3つのアプローチ!
(3)簡単に無料で手に入る「統計データ」を積極的に活用しよう!
(4)需要の傾向を読み解いて市場の先行きを考えよう!
(5)「影響要因」を把握して説得力のある需要予測を導き出そう!
「関連記事②-面白いほどよくわかる建設市場-供給編」はこちらから↓
(1)色々な視点から「建設業者の忙しさ」を把握しよう!
(2)「建設業者の忙しさ」を把握する具体的なアプローチとは!
(3)「建設業者の忙しさ」は業者の規模別に把握しよう!
(4)建設業者の供給状況を見抜いて実プロジェクトに応用しよう!
「関連記事③-面白いほどよくわかる建設市場-価格編」はこちらから↓
(1)「建築費」とは!?と聞かれたら!
(2)「建築費」ってどうやって算出されるの!?
(3)実務で使われる「概算」の方法とは!?
(4)「建築費」に影響を与える要因とは!?
(5)「建築費」の水準や傾向を把握するアプローチとは!?
「関連記事④-面白いほどよくわかる建設市場-建設市場予測編」はこちらから↓
(1)「建設市場」は「予想」でなく「予測」しよう!
(2)建築費が高騰/下落する仕組みとは!?
(3)建築費がいつ頃下落するか予測しよう!
「関連記事⑤-海外建設市場シリーズ」はこちらから↓
(1)世界62か国で建設費が最も高い水準なのは!?
(2)世界の建設市場における労務費を比べてみる!
(3)世界における建設市場規模はどの程度か!?
「関連記事⑥-建設統計からみた建設市場シリーズ」はこちらから↓
(1)2016年の「建築需要」と「建築費」の水準は!?
(2)建設市場における「受注高」「施工高」「未消化工事高」の水準は!?