工場の建築費は坪単価でどの程度の水準か?【2019年版】
【坪単価で把握する工場の建築費2019年版】
国内に建設される建物の建築費を坪単価から把握する「坪単価で把握する建築費特集」、前回のコラムでは、建物用途が「事務所」の場合について紹介しました。今回は「工場」の場合として、2018年の国内における建築費の水準について坪単価をベースに紹介していきたいと思います。
工場の建築費、構造別の坪単価は鉄骨造で約65万円/坪の水準に!
まず、全国における工場の建築費を構造別でみてみると、鉄筋コンクリート造の場合で、97.2(万円/坪)と最も高い水準となり、次いで鉄骨造が65.0(万円/坪)の水準でした。一方、木造の場合は、坪単価が44.0(万円/坪)とここで取り上げた3種類の構造において最も低い水準となりました。(下図1参照)
また、図1において、全構造平均の坪単価は66.6(万円/坪)と鉄骨造の場合の水準と非常に近い水準となっていますが、これは、国内における工場建築の約9割以上が鉄骨造として建設されていることに影響を受けている為と考えられます。(下図2参照)
都道府県別でみた工場の坪単価、最も高い水準は岩手、次いで東京都が高水準に!
2018年の工場における建築費の水準を都道府県別に見てみると、最も高い水準は岩手の124.0(万円/坪)で、東京都の113.1(万円/坪)、沖縄の91.3(万円/坪)、宮城の81.0(万円/坪)がこれに続きました。一方、坪単価が最も低い水準は高知の39.1(万円/坪)で、次いで大分の41.9(万円/坪)、福岡の45.4(万円/坪)と続いています。(下図3参照)
工場の建築費、東京都、全国で共に上昇傾向に!
①東京都における工場建築費の傾向は!?
東京都における2011年から2018年までの工場の建築費水準を見てみると、底となった2011年の55.6(万円/坪)から上昇傾向で推移し2014年には77.2(万円/坪)の水準まで上昇しています。さらに、2016年の時点では102.3(万円/坪)と大きく上昇しているものの、2017年の時点では85.7(万円/坪)と下落しております。しかしながら、2018年時点では113.1(万円/坪)の水準へ再び大きく上昇していることが読み取れます。(下図4参照)
②全国における工場建築費の傾向は!?
2011年から2018年までの全国における工場の建築費水準を見てみると、2011年の42.6(万円/坪)を底として、2013年まで概ね横ばいで推移したものの、2014年より上昇傾向に入り、2015年には59.8(万円/坪)の水準まで上昇しています。その後は、2016年に若干下落したものの、2017年より再び上昇して2018年時点では65.0(万円/坪)の水準となっていることが分かります。(下図5参照)
今回は「坪単価で把握する建築費」シリーズとして、建物用途が「工場」の場合における建築費の水準について、坪単価で紹介しました。
また、今回のコラムで紹介しました統計データを活用して建築費の水準を把握する方法は、全国や都市別といった大きな市場における「建築費」について、その水準やトレンドを掴む方法としては適している一方、個別性の強いプロジェクトや高い精度を求める場合にはあまり向いていない方法であることについても触れておきます。
その為、こちらの「建築費」の水準や傾向を把握するアプローチに関するコラムを参考に、目的に適ったアプローチで「建築費」の水準や傾向を把握することが重要となります。
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