ホテルの建築費は坪単価でどの程度の水準か?【2019年版】
【坪単価で把握するホテルの建築費|2019年版】
国内に建設される建物の建築費を坪単価から把握する「坪単価で把握する建築費特集」、前回のコラムでは、建物用途が「商業店舗」の場合について紹介しました。今回は建物が「ホテル」の場合として、2018年の国内における建築費の水準について坪単価をベースに紹介していきたいと思います。
ホテルの建築費、構造別の坪単価は鉄骨造で約116万円/坪の水準に!
まず、全国におけるホテルの建築費を構造別でみてみると、鉄骨造の場合で115.9(万円/坪)と最も高い水準にあることが分かります。続いて、鉄骨鉄筋コンクリート造の場合で112.9(万円/坪)、鉄筋コンクリート造では101.2(万円/坪)と坪当たり100万円の水準を超えていることが分かります。一方で、木造の場合は56.8(万円/坪)と最も低い水準となっています。(下図1参照)
また、図1において、全構造平均の坪単価は109.5(万円/坪)と鉄骨造の115.9(万円/坪)と鉄筋コンクリート造の101.2(万円/坪)の間に位置する水準となっていますが、これは、国内におけるホテル建築の約9割以上が鉄骨造または鉄筋コンクリート造として建設されていることに影響を受けている為と考えられます。(下図2参照)
都道府県別でみたホテルの坪単価、最も高い水準は東京都、次いで静岡、神奈川が高水準に!
2018年のホテルにおける建築費の水準を都道府県別に見てみると、最も高い水準は東京都の165.0(万円/坪)で、静岡の128.2(万円/坪)、神奈川の116.0(万円/坪)、福岡の113.3(万円/坪)、大阪の111.6(万円/坪)と続いており、東京都における水準が他の地域と比較して顕著に高い水準であることが分かります。一方、坪単価が最も低い水準は沖縄の33.9(万円/坪)で、次いで岐阜の58.2(万円/坪)となっています。(下図3参照)
ホテルの建築費、2018年は東京都、全国で上昇傾向に!
①東京都におけるホテル建築費は大きく上昇へ!
2011年から2018年までの東京都におけるホテルの建築費水準を見てみると、2011年から2013年までは概ね横ばいで推移し、底となった2013年の94.3(万円/坪)から2016年まで153.0(万円/坪)と大きく上昇していることが分かります。その後、2017年の144.5(万円/坪)まで下落したものの、2018年には165.0(万円/坪)の水準へ再び大きく上昇して推移していることが分かります。(下図4参照)
②全国におけるホテル建築費は若干の上昇傾向に!
同様に、全国におけるホテルの建築費水準を見てみると、2011年の68.7(万円/坪)から継続的に上昇し、2016年の111.6(万円/坪)まで大きく上昇しています。しかしながら、東京都におけるホテルの建築費と同様に、2017年には110.7(万円/坪)と下落しましたが、2018年の時点では115.9(万円/坪)の水準へ上昇していることが読み取れます。(下図5参照)
今回は「坪単価で把握する建築費」として、建物用途が「ホテル」の場合における建築費の水準について、坪単価で紹介しました。
なお、今回のコラムで紹介しました統計データを活用して建築費の水準を把握する方法は、全国や都市別といった大きな市場における「建築費」について、その水準やトレンドを掴む方法としては適している一方、個別性の強いプロジェクトや高い精度を求める場合にはあまり向いていない方法であることについても触れておきます。
その為、こちらの「建築費」の水準や傾向を把握するアプローチに関するコラムを参考に、目的に適ったアプローチで「建築費」の水準や傾向を把握することが重要となります。
注)坪単価を算出する際に対象としたデータについて、建物数が10棟未満の場合については、ばらつきを考慮して対象から抜いている。
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