アーキブックコスト

倉庫の建築費は坪単価でどの程度の水準か?【2020年版】

【坪単価で把握する倉庫の建築費|2020年版】
国内に建設される建物の建築費を坪単価から把握する「坪単価で把握する建築費特集」、前回のコラムでは、建物用途が「工場」の場合について紹介しました。今回は建物が「倉庫」の場合として、2019年の国内における建築費の水準について坪単価をベースに紹介していきたいと思います。

倉庫の建築費は坪単価でどの程度の水準か?-坪単価で把握する建築費(4)

倉庫の建築費、構造別の坪単価は鉄骨造で約42万円/坪の水準に!


まず、全国における倉庫の建築費を構造別でみてみると、鉄骨鉄筋コンクリート造の場合に71.3(万円/坪)と最も高い水準に、次いで鉄筋コンクリート造が50.4(万円/坪)となっています。また、鉄骨造では41.6(万円/坪)の水準に、木造の場合は36.1(万円/坪)と最も低い水準となりました。(下図参照)


建築費水準(万円/坪)|倉庫(全国)構造別


また、上図において、全構造平均の坪単価は43.6(万円/坪)と鉄骨造の41.6(万円/坪)と近い水準となっていますが、これは、国内における倉庫建築の約8割が鉄骨造として建設されていることに影響を受けている為と考えられます。(下図参照)


倉庫建築の構造別割合


都道府県別でみた倉庫の坪単価、最も高い水準は沖縄、次いで北海道が高水準に!


倉庫の2019年における建築費の水準を都道府県別に見てみると、最も高い水準は沖縄の79.7(万円/坪)で、北海道の55.3(万円/坪)、石川の52.3(万円/坪)、山形の50.8(万円/坪)がこれに続きました。一方、坪単価が最も低い水準となったのは宮崎の27.8(万円/坪)、次いで栃木の32.4(万円/坪)、島根の32.7(万円/坪)となっています。なお、東京における建築費の水準49.6(万円/坪)となっています。(下図参照)


建築費水準(万円/坪)|鉄骨造 倉庫


倉庫の建築費、東京は下落傾向継続も全国では上昇傾向継続に!


①東京における倉庫建築費は下落傾向が継続へ!
2011年から2019年までの東京における倉庫の建築費水準を見てみると、底となった2012年の36.5(万円/坪)から上昇傾向で推移し2015年には57.8(万円/坪)まで大きく上昇しています。その後、2016年の時点では53.0(万円/坪)と若干下落しましたが、2017年の時点では55.3(万円/坪)と再び上昇傾向で推移しました。そこから、2018年には53.4(万円/坪)、2019年は49.6(万円/坪)と2年連続の下落傾向で推移していることが読み取れます。2019年の水準は、2017年の水準と比較して坪あたりで約5.7万円と2年間で約10%低い水準へ下落しており、4年ぶりに坪あたり40万円台の水準となったことが分かります。(下図参照)


建築費水準(万円/坪)|鉄骨造 倉庫(東京都)


②全国における倉庫建築費の傾向は!?
同様に、全国における倉庫の建築費水準を見てみると、2017年までは東京の場合と非常に類似した推移となっています。具体的に、2012年の27.9(万円/坪)を底として、2015年の38.8(万円/坪)まで大きく上昇しました。そして、2016年には36.0(万円/坪)まで下落しましたが、2017年には37.8(万円/坪)の水準まで再び上昇しております。一方、2018年以降は東京が2019年まで下落推移したのに対して、全国では2019年まで上昇推移し、2019年の水準は2017年の水準と比較して約10%高い水準となっていることが読み取れます。(下図参照)


建築費水準(万円/坪)|鉄骨造 倉庫(全国)


今回は「坪単価で把握する建築費」として、建物用途が「倉庫」の場合における建築費の水準について、坪単価で紹介しました。

また、今回のコラムで紹介しました統計データを活用して建築費の水準を把握する方法は、全国や都市別といった大きな市場における「建築費」について、その水準やトレンドを掴む方法としては適している一方、個別性の強いプロジェクトや高い精度を求める場合にはあまり向いていない方法であることについても触れておきます。

その為、こちらの「建築費」の水準や傾向を把握するアプローチに関するコラムを参考に、目的に適ったアプローチで「建築費」の水準や傾向を把握することが重要となります。

実務で役立つ建築費の相場【最新版】TOPへ
実務で役立つゼネコンの状況把握【最新版】TOPへ
業績から把握するデベロッパーランキング【最新版】TOPへ
職選びで役に立つ建設業の年収相場【最新版】TOPへ
購入の検討に役立つ住宅価格の相場【最新版】TOPへ

過去データを見る|実務で役立つ建築費の相場【過去データ】TOPへ

参考|主要データ一覧


倉庫の建築費水準|鉄骨造
都道府県坪単価
沖縄県74.4(万円/坪)
北海道55.3(万円/坪)
石川県52.3(万円/坪)
山形県50.8(万円/坪)
秋田県50.7(万円/坪)
東京都49.6(万円/坪)
山梨県49.3(万円/坪)
青森県49.2(万円/坪)
福井県47.8(万円/坪)
埼玉県46.3(万円/坪)
高知県46.1(万円/坪)
長崎県45.3(万円/坪)
兵庫県45.0(万円/坪)
神奈川県44.9(万円/坪)
和歌山県44.3(万円/坪)
新潟県42.9(万円/坪)
大阪府42.3(万円/坪)
滋賀県41.9(万円/坪)
千葉県41.1(万円/坪)
静岡県40.5(万円/坪)
大分県40.4(万円/坪)
山口県39.6(万円/坪)
京都府39.4(万円/坪)
富山県39.3(万円/坪)
茨城県39.2(万円/坪)
愛知県38.9(万円/坪)
徳島県38.7(万円/坪)
福島県38.5(万円/坪)
福岡県38.2(万円/坪)
広島県38.0(万円/坪)
奈良県37.9(万円/坪)
佐賀県37.7(万円/坪)
宮城県37.7(万円/坪)
愛媛県37.5(万円/坪)
鹿児島県37.3(万円/坪)
長野県36.5(万円/坪)
岩手県36.3(万円/坪)
三重県35.7(万円/坪)
岡山県35.5(万円/坪)
群馬県35.5(万円/坪)
岐阜県35.0(万円/坪)
鳥取県34.5(万円/坪)
熊本県33.9(万円/坪)
香川県33.2(万円/坪)
島根県32.7(万円/坪)
栃木県32.4(万円/坪)
宮崎県27.8(万円/坪)
全国平均41.6(万円/坪)

出典 | 建築着工統計調査(国交省)に基づいて作成(2019年時点)
※建築費(万円/坪)は工事費予定額(円)を床面積(坪)で除した値
注)坪単価を算出する際に対象としたデータについて、建物数が10棟未満の場合は、ばらつきを考慮して対象外とした。

アーキブック概算算出サービス

「坪単価で把握する建築費」はこちらから↓
戸建て住宅の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
賃貸アパートの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
シェアハウスの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
マンションの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
住宅の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
事務所の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
工場の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
倉庫の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
商業店舗の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
ホテルの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
病院の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
福祉介護施設の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
学校の建築費は坪単価でどの程度の水準か?

「関連記事①-面白いほどよくわかる建設市場-需要編」はこちらから↓
(1)主力とするターゲットや商品開発を建設需要から導こう!
(2)知りたい情報に辿り着ける3つのアプローチ!
(3)簡単に無料で手に入る「統計データ」を積極的に活用しよう!
(4)需要の傾向を読み解いて市場の先行きを考えよう!
(5)「影響要因」を把握して説得力のある需要予測を導き出そう!

「関連記事②-面白いほどよくわかる建設市場-供給編」はこちらから↓
(1)色々な視点から「建設業者の忙しさ」を把握しよう!
(2)「建設業者の忙しさ」を把握する具体的なアプローチとは!
(3)「建設業者の忙しさ」は業者の規模別に把握しよう!
(4)建設業者の供給状況を見抜いて実プロジェクトに応用しよう!

「関連記事③-面白いほどよくわかる建設市場-価格編」はこちらから↓
(1)「建築費」とは!?と聞かれたら!
(2)「建築費」ってどうやって算出されるの!?
(3)実務で使われる「概算」の方法とは!?
(4)「建築費」に影響を与える要因とは!?
(5)「建築費」の水準や傾向を把握するアプローチとは!?

「関連記事④-面白いほどよくわかる建設市場-建設市場予測編」はこちらから↓
(1)「建設市場」は「予想」でなく「予測」しよう!
(2)建築費が高騰/下落する仕組みとは!?
(3)建築費がいつ頃下落するか予測しよう!

「関連記事⑤-海外建設市場シリーズ」はこちらから↓
(1)世界62か国で建設費が最も高い水準なのは!?
(2)世界の建設市場における労務費を比べてみる!
(3)世界における建設市場規模はどの程度か!?

「関連記事⑥-建設統計からみた建設市場シリーズ」はこちらから↓
(1)2016年の「建築需要」と「建築費」の水準は!?
(2)建設市場における「受注高」「施工高」「未消化工事高」の水準は!?

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

記事を気に入ったらシェア!

合わせて読みたい

オススメの最新記事

この記事と同じカテゴリの質問


アーキブックコスト

コラムカテゴリ

カテゴリー

専門家の種類

建物用途

資格

課題解決

サイトニュース

2016.7.19
「アーキブック」をリリースしました。