学校の建築費は坪単価でどの程度の水準か?【2021年版】
【坪単価で把握する学校の建築費|2021年版】
国内に建設される建物の建築費を坪単価から把握する「坪単価で把握する建築費特集」、前回のコラムでは、建物用途が「福祉介護施設」の場合について紹介しました。今回は建物が「学校」の場合として、2020年の国内における建築費の水準について坪単価をベースに紹介していきたいと思います。
学校の建築費、坪単価は鉄筋コンクリート造で約120万円/坪の水準に!
まず、2020年の全国における学校の建築費を構造別でみてみると、鉄筋コンクリート造の場合で120.3(万円/坪)と最も高い水準に、次いで、鉄骨鉄筋コンクリート造では118.9(万円/坪)、木造の場合で103.3(万円/坪)となっています。一方で、鉄骨造の場合は90.1(万円/坪)と最も低い水準であることが分かります。(下図参照)
また、上図において、全構造平均の坪単価は107.3(万円/坪)と、最も高くなった鉄筋コンクリート造の120.3(万円/坪)と、最も低くなった鉄骨造の90.1(万円/坪)との間に位置する水準となっていますが、これは、国内における学校の約85%が鉄筋コンクリート造か鉄骨造として建設されていることに影響を受けている為と考えられます。(下図参照)
都道府県別でみた学校の坪単価、最も高い水準は東京、次いで熊本、大阪が高水準に!
学校の2020年における建築費の水準を都道府県別に見てみると、最も高い水準となったのは東京の152.3(万円/坪)、次いで熊本の130.0(万円/坪)、大阪の124.0(万円/坪)となっています。一方、坪単価が最も低い水準となったのは沖縄の71.9(万円/坪)で、福岡の94.1(万円/坪)、兵庫の102.0(万円/坪)が続いていることが読み取れます。(下図参照)
学校の建築費、東京、全国で上昇傾向が続く!
①東京における建築費は大きく上昇へ!
2020年までの東京都における学校の建築費水準を見てみると、底である2011年の85.7(万円/坪)から2016年の140.0(万円/坪)まで大きく上昇しました。しかしながら、その後は下落傾向で推移し、2017年には127.3(万円/坪)と大きく下落、さらに2018年は121.0(万円/坪)と対前年比で約5%の下落となりました。そこから、2019年は135.4(万円/坪)、2020年には152.3(万円/坪)の水準まで大きく上昇していることが分かります。(下図参照)
②全国における学校の建築費は2年連続の上昇に!
同様に、全国における学校の建築費水準を見てみると、2012年の71.9(万円/坪)を底として2017年まで継続的に上昇し、同年には101.4(万円/坪)の水準まで上昇しています。その後、2018年には94.5(万円/坪)と対前年比で約7%の下落となりましたが、2019年は109.8(万円/坪)、2020年の時点では120.3(万円/坪)の水準と、2年連続の上昇傾向で推移していることが読み取れます。(下図参照)
今回は「坪単価で把握する建築費」として、建物用途が「学校」の場合における建築費の水準について、坪単価で紹介しました。
なお、今回のコラムで紹介しました統計データを活用して建築費の水準を把握する方法は、全国や都市別といった大きな市場における「建築費」について、その水準やトレンドを掴む方法としては適している一方、個別性の強いプロジェクトや高い精度を求める場合にはあまり向いていない方法であることについても触れておきます。
その為、こちらの「建築費」の水準や傾向を把握するアプローチに関するコラムを参考に、目的に適ったアプローチで「建築費」の水準や傾向を把握することが重要となります。
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参考|主要データ一覧
学校の建築費水準|鉄筋コンクリート造
都道府県 | 坪単価 |
---|---|
東京都 | 152.3(万円/坪) |
熊本県 | 130.0(万円/坪) |
大阪府 | 124.0(万円/坪) |
神奈川県 | 122.5(万円/坪) |
北海道 | 122.5(万円/坪) |
愛知県 | 116.0(万円/坪) |
広島県 | 107.0(万円/坪) |
奈良県 | 105.3(万円/坪) |
兵庫県 | 102.0(万円/坪) |
福岡県 | 94.1(万円/坪) |
沖縄県 | 71.9(万円/坪) |
全国平均 | 120.3(万円/坪) |
※建築費(万円/坪)は工事費予定額(円)を床面積(坪)で除した値
注)坪単価を算出する際に対象としたデータについて、建物数が10棟未満の場合は、ばらつきを考慮して対象外とした。

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