アーキブックコスト

学校の建築費は坪単価でどの程度の水準か?【2022年版】

【坪単価で把握する学校の建築費|2022年版】
国内に建設される建物の建築費を坪単価から把握する「坪単価で把握する建築費特集」、前回のコラムでは、建物用途が「福祉介護施設」の場合について紹介しました。今回は建物が「学校」の場合として、2021年の国内における建築費の水準について坪単価をベースに紹介していきたいと思います。

学校の建築費は坪単価でどの程度の水準か?-坪単価で把握する建築費(8)

学校の建築費、坪単価は鉄筋コンクリート造で坪あたり115.0万円の水準に


まず、2021年の全国における学校の建築費を構造別でみてみると、鉄骨鉄筋コンクリート造の場合で141.2(万円/坪)と最も高い水準に、次いで、鉄筋コンクリート造では115.0(万円/坪)、木造の場合で90.0(万円/坪)となっています。一方で、鉄骨造の場合は89.4(万円/坪)と最も低い水準であることが分かります。(下図参照)


建築費水準(万円/坪)|学校(全国)構造別


また、上図において、全構造平均の坪単価は103.1(万円/坪)と、鉄筋コンクリート造の115.0(万円/坪)と、最も低くなった鉄骨造の89.3(万円/坪)との間に位置する水準となっていますが、これは、国内における学校の約9割が鉄筋コンクリート造または鉄骨造として建設されていることに影響を受けている為と考えられます。(下図参照)


学校建築の構造別割合


都道府県別でみた学校の坪単価、最も高い水準は東京、次いで北海道、大阪が高水準に


学校の2021年における建築費の水準を都道府県別に見てみると、最も高い水準となったのは東京の152.9(万円/坪)、次いで北海道の120.5(万円/坪)、大阪の112.9(万円/坪)となっています。一方、坪単価が最も低い水準となったのは兵庫の75.4(万円/坪)で、神奈川の78.2(万円/坪)、福岡の91.7(万円/坪)が続いていることが読み取れます。(下図参照)


建築費水準(万円/坪)|鉄筋コンクリート造 学校


学校の建築費、東京では上昇傾向継続も、全国では下落へ転換


東京における建築費は152.9(万円/坪)と前年から若干上昇へ

2021年までの東京における学校の建築費水準を見てみると、底である2011年の85.7(万円/坪)から2016年の140.0(万円/坪)まで大きく上昇しました。しかしながら、その後は下落傾向で推移し、2017年には127.3(万円/坪)と大きく下落、さらに2018年は121.0(万円/坪)と対前年比で約5%の下落となりました。そこから、2019年の135.4(万円/坪)、2020年の152.3(万円/坪)、2021年の152.9(万円/坪)と3年連続の上昇傾向で推移していることが分かります。(下図参照)


建築費水準(万円/坪)|鉄筋コンクリート造学校(東京都)


全国における学校の建築費は115.0(万円/坪)と前年から下落へ転じる

同様に、2021年までの全国における学校の建築費水準を見てみると、2012年の71.9(万円/坪)を底として2017年まで継続的に上昇し、同年には101.4(万円/坪)の水準まで上昇しています。その後、2018年には94.5(万円/坪)と対前年比で約7%の下落に転じました。そこから、2019年は109.8(万円/坪)、2020年は120.3(万円/坪)と、2年連続の上昇傾向で推移していましたが、2021年は115.0(万円/坪)と下落に転じていることが読み取れます。(下図参照)


建築費水準(万円/坪)|鉄筋コンクリート造 学校(全国)


以上のように、今回は「坪単価で把握する建築費」として、建物用途が「学校」の場合における建築費の水準について、坪単価で紹介しました。

なお、今回のコラムで紹介しました統計データを活用して建築費の水準を把握する方法は、全国や都市別といった大きな市場における「建築費」について、その水準やトレンドを掴む方法としては適している一方、個別性の強いプロジェクトや高い精度を求める場合にはあまり向いていない方法であることについても触れておきます。

その為、こちらの「建築費」の水準や傾向を把握するアプローチに関するコラムを参考に、目的に適ったアプローチで「建築費」の水準や傾向を把握することが重要となります。

【最新レポート】
建築費が超高騰時代へ突入すると見込まれる具体的な理由について分かりやすく解説

実務で役立つ建築費の相場【最新版】へ
実務で役立つゼネコンの状況把握【最新版】へ
業績から把握するデベロッパーランキング【最新版】へ
職選びで役に立つ建設業の年収相場【最新版】へ
購入の検討に役立つ住宅価格の相場【最新版】へ

実務で役立つ建築費の相場【過去データ】TOPへ

参考|主要データ一覧


学校の建築費水準|鉄筋コンクリート造
都道府県坪単価
東京都152.9(万円/坪)
北海道120.5(万円/坪)
大阪府112.9(万円/坪)
愛知県102.2(万円/坪)
熊本県101.2(万円/坪)
沖縄県95.7(万円/坪)
福岡県91.7(万円/坪)
神奈川県78.2(万円/坪)
兵庫県75.4(万円/坪)
全国平均115.0(万円/坪)
出典 | 建築着工統計調査(国交省)に基づいて作成(2021年時点)
※1 建築費(万円/坪)は工事費予定額(円)を床面積(坪)で除した値
※2 工事費予定額に消費税は含まれない
注)坪単価を算出する際に対象としたデータについて、建物数が10棟未満の場合は、ばらつきを考慮して対象外とした。

「坪単価で把握する建築費」はこちらから↓
戸建て住宅の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
賃貸アパートの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
シェアハウスの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
マンションの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
住宅の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
事務所の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
工場の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
倉庫の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
商業店舗の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
ホテルの建築費は坪単価でどの程度の水準か?
病院の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
学校の建築費は坪単価でどの程度の水準か?
構造別でみた建築費は坪単価でどの程度の水準か?
全国の用途・構造別でみた建築費は坪単価でどの程度の水準か?

「関連記事-面白いほどよくわかる建設市場-需要編」はこちらから↓
(1)主力とするターゲットや商品開発を建設需要から導こう!
(2)知りたい情報に辿り着ける3つのアプローチ!
(3)簡単に無料で手に入る「統計データ」を積極的に活用しよう!
(4)需要の傾向を読み解いて市場の先行きを考えよう!
(5)「影響要因」を把握して説得力のある需要予測を導き出そう!

「関連記事-面白いほどよくわかる建設市場-供給編」はこちらから↓
(1)色々な視点から「建設業者の忙しさ」を把握しよう!
(2)「建設業者の忙しさ」を把握する具体的なアプローチとは!
(3)「建設業者の忙しさ」は業者の規模別に把握しよう!
(4)建設業者の供給状況を見抜いて実プロジェクトに応用しよう!

「関連記事-面白いほどよくわかる建設市場-価格編」はこちらから↓
(1)「建築費」とは!?と聞かれたら!
(2)「建築費」ってどうやって算出されるの!?
(3)実務で使われる「概算」の方法とは!?
(4)「建築費」に影響を与える要因とは!?
(5)「建築費」の水準や傾向を把握するアプローチとは!?

「関連記事-面白いほどよくわかる建設市場-建設市場予測編」はこちらから↓
(1)「建設市場」は「予想」でなく「予測」しよう!
(2)建築費が高騰/下落する仕組みとは!?
(3)建築費がいつ頃下落するか予測しよう!

「関連記事-海外建設市場シリーズ」はこちらから↓
(1)世界62か国で建設費が最も高い水準なのは!?
(2)世界の建設市場における労務費を比べてみる!
(3)世界における建設市場規模はどの程度か!?

「関連記事-建設統計からみた建設市場シリーズ」はこちらから↓
(1)2016年の「建築需要」と「建築費」の水準は!?
(2)建設市場における「受注高」「施工高」「未消化工事高」の水準は!?

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

記事を気に入ったらシェア!

合わせて読みたい

オススメの最新記事

この記事と同じカテゴリの質問


アーキブックコスト

コラムカテゴリ

カテゴリー

専門家の種類

建物用途

資格

課題解決

サイトニュース

2016.7.19
「アーキブック」をリリースしました。