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コンストラクションマネジメント会社を活用するメリット|CM業務シリーズ

【CM会社の活用メリット】
近年の建設プロジェクトでは、コスト、工期や品質に対する透明性や説明責任が強く問われるようになったことで、 CM業務やPM業務を専門で実施するマネジメント会社やコンサルティング会社が、設計者や施工者とは完全に独立した立場から発注者に代わってこれらのマネジメント業務を展開するプロジェクトが急速に増えています。

コンストラクションマネジメント会社を活用するメリット
そこで今回は、建設プロジェクトにおいてマネジメント会社やコンサルティング会社を採用する代表的なメリットについて、コンストラクションマネジメント会社の活用メリットを例に挙げ、下記の観点より紹介します。


  • 1. 発注者の右腕となり強力サポート

  • 2. 適正なスケジュール・予算の設定

  • 3. 投資効果を高める設計の見直し

  • 4. 合理的な工事発注の検討・実施

  • 5. スキルとノウハウによる効率化

  • 6. 必要な業務に絞って依頼できる

  • 7. その他のメリット

  • 1. 発注者の右腕となり強力サポート


    CM会社は設計者や施工者から独立した立場から、プロジェクトの実現に向けて関係者をサポートする役割を担います。その基本的な立場と本質的な役割は以下の通りに要約されます。

    【CM会社の基本的な立場】
    ・設計者や施工者から完全に独立した立場
    ・プロジェクトチームの一員

    【CM会社の本質的な役割】
    ・発注者で不足している体制を補う
    ・プロジェクトの実現に向けチームをサポート
    ・プロジェクトを具体化して推し進める
     ⇨プロジェクトの全体像を描く
     ⇨実現に向けた課題を洗い出す
     ⇨課題に対する方策/対応策を講じる

    一般に建設プロジェクトにおけるCMの業務範囲は【コラム|CM(コンストラクションマネジメント)とは】で紹介されているように多岐に渡り、各業務の実施には相応の経験や専門的なスキルが求められます。

    その中で、業務実施に必要となる「経験」「専門スキル」「ノウハウ」を兼ね備えたスペシャリストとして、発注者で不足している体制を補い、プロジェクトチームをサポートするのです。その為、CM会社は発注者にとっての右腕となり、プロジェクトの実現に向け非常に大きな役割を果たすことになります。

    それでは、CM会社を採用する主要なメリットについて、具体的に紹介していきます。

    2. 適正なスケジュール・予算の設定


    まず、CM会社を採用することで目標となるスケジュールや予算を適正に設定することが可能となる点が挙げられます。

    ① 豊富なプロジェクトデータ


    一般に、CM会社は過去に携わった建設プロジェクトの実績データを数多く抱えています。その為、例えば、プロジェクトが構想段階であっても、類似案件におけるスケジュールをベースに「企画・設計」「発注・調達」「施工」といったプロジェクトの各段階で必要な期間を設定することが出来るのです。そして、予算についても同様に、対象プロジェクトと類似した案件における実績工事費をベースに設定することが可能となります。

    ② 建設市場の動向把握


    また、CM会社は恒常的にいくつもの建設プロジェクトを抱えている為、建設市場の動向についてコンスタントに把握しています。具体的には、対象プロジェクトと類似した直近プロジェクトの契約実績に基づいた労務単価や資材価格の水準、さらには日常的にプロジェクトでゼネコンと接触している中で、新規案件に対する受注意欲や社内方針、工事の繁閑具合といった状況について直接肌で感じています。

    ③ 市場動向を踏まえた適正な目標設定


    その為、過去の類似案件に基づいてスケジュールや予算を設定する際、これらの市場動向を反映させることで、例えば「建設会社の繁忙状況や働き方改革の影響による工期延伸を考慮したスケジュール設定」「市況に基づいた価格水準をベースに発注時期までの物価上昇や労務費上昇を見込んだ予算設定」といったように、より適正な目標設定を行うことが出来るのです。

    これは、CM会社が恒常的に建設プロジェクトに参画していることに加え、各社が過去に携わったプロジェクトの「スケジュール」や「工事費」などについて「地域」「用途」「規模」「構造」「建物グレード」「設備容量」などの観点から体系的なデータとして構築していることで可能になっていると言えるでしょう。

    このように、CM会社の抱える豊富なプロジェクトデータをベースに市場動向を踏まえた適正な目標設定が可能となるので、発注者にとってのメリットとして挙げることができます。

    さらに、CM会社がスケジュールや予算を設定する際、ベースとなる類似案件実績に市場動向を反映させる「考え方」や「前提条件」を定性的かつ定量的にロジカルに展開する為、発注者が社内で報告する際も分かり易く説明することが可能であり、この点も活用メリットとして挙げられます。

    3. 投資効果を高める設計の見直し


    また、CM会社は計画や設計の内容を見直し、代替案の検討を行いますが、この点もCM会社を採用するメリットとして挙げられます。

    具体的には、計画や設計の内容について「仕上げの仕様が必要以上に高いグレードとなっていないか」「求める施設の規模に対する設備の容量は妥当であるか」など、発注者の求める要件に基づいて無理や無駄、不足や過剰となっている部分がないかを確認します。

    また、これらの確認に加え、例えば「同等の機能や性能で、より安価な材料はないか」「工期を短縮できる工法等はないか」「ランニングコストを低減できる資機材はないか」など、設計内容を少し見直すことでコストや工期に大きな影響与えて投資価値を高める代替案を模索するのです。

    これらの確認・検討は、発注者や設計者とは完全に独立した視点から客観的に実施されますが、代替案における効果は「コスト縮減額」や「工期短縮日数」として定量化されるので採否について判断しやすい形で提案されます。

    このように、発注者の要件に基づいた客観的な視点から、改めて計画や設計の内容を見直すことがプロジェクトの投資効果を高める検討に繋がる為、発注者にとっての大きなメリットとして挙げることができます。

    4. 合理的な工事発注の検討・実施


    続いて、工事の発注を合理的に検討・実施できる点が活用メリットとして挙げられます。工事の発注は大きくは下記に示すように検討プロセスと実施プロセスに分類されます。

    ①発注方式を検討するプロセス


    工事発注にあたり、まず、どの発注方式を採用するのがベストであるかの検討が必要になります。一方、【コラム|なぜコンストラクションマネジメント会社の活用が必要なのか】で紹介したように、近年の建設市場においては工事発注方式の多様化・複雑化が進んでいます。

    CM会社は恒常的に関わる建設プロジェクトを通して、多様化する発注方式を実際のプロジェクトで経験しているので、各方式における特徴や性質についてよく理解しています。

    その為、プロジェクトの目的や状況を整理した上で「発注方式はどのような選択肢やパターンがあるのか」「各選択肢におけるプロジェクトメリットや課題は何か」「具体的にどのようなプロセスで進んで行くのか」「各方式で関係者の役割や関わり方はどう違うのか」「選択する方式によりスケジュールやコストはどの程度変わるのか」といったように、候補となる発注方式の洗い出しから、プロジェクトを具体的に各方式に落とし込んだ場合の定性的かつ定量的な視点からの比較検討が可能となるのです。

    この比較検討は、プロジェクト関係者でベストな発注方式を選定する際の判断材料となる為、非常に重要であり、上記のように具体的にプロジェクトを落とし込んだ形で、定性的な側面からだけでなく、定量的な側面からも並行して行われることで、最適な発注方式の合理的な検討に繋がります。

    ② 工事の発注を実施するプロセス


    上記の検討を通して選定された発注方式に基づいて、実際に工事の発注が実施されていきます。必要となる実務内容は発注方式で異なる為、ここでは工事発注プロセスにおける代表的な活用メリットについて紹介します。

    ・建設会社との窓口を一本化
    まず、CM会社は工事の発注に必要となる実務を発注者に代わって実施することができます。その為、例えば、入札や見積合わせの際に必要な「候補業者の招集」「説明会の実施」「質疑応答」などのプロセスにおいて、CM会社を窓口として候補者とのやり取りを一本化することで、発注者が候補業者と直接やりとりすることなく進めていくことが可能となります。

    ・競争原理が機能する環境の形成
    また、CM会社は、常日頃より建設会社の間で競争原理が働く環境の形成に努めています。

    その為「どのように話を進めれば建設会社の受注意欲を高めることができるか」「どうしたら競争原理が強く働く環境を作り出すことが出来るのか」について、例えば「建設会社からみてプロジェクトが魅力的に見える声の掛け方」「建設会社の営業担当者が社内承認を得やすい形での情報提供の進め方」といったように実践上のノウハウとして構築されている為、発注者が自ら声を掛けて業者を招集するより合理的に競争環境を作り出すことが可能となるのです。

    特に近年では、例えば「ゼネコンに競争見積りを断られた」「入札参加に前向きでなかった」など発注者にとっては頭の痛いケースが多く発生していますが、CM会社を窓口として活用することで、これら頭を抱えるような状況の改善に期待することができます。

    ・市況に基づく見積書の精査と価格交渉
    この工事発注プロセスでは、建設会社から提出された見積書の精査、また、価格や契約条件の交渉において、CM会社を採用するメリットが挙げられます。

    前述したようにCM会社は恒常的に建設プロジェクトに係っています。その為、建設会社から見積書が提出された時点で、直近の類似案件において取引された労務単価や資材価格の水準を把握しています。つまり、見積書の内容を市況に基づいて精査をことが可能となります。

    また、建設会社との価格交渉は見積書の内容を精査した結果を踏まえて進められるのが一般的です。この際、CM会社は精査の前提となる条件や想定について整理したうえで交渉を進める為、精査内容の根拠について説得力を持った形で建設会社へ示すことが可能となります。

    このように、見積書の妥当性を市況に基づいてチェックするだけでなく、その結果について説得力を有する形で整理して、建設会社と膝を突き合わせて価格交渉を進められる点が活用メリットとして挙げられます。

    特に近年では、建設会社が発注者より優位にある「売り手市場」の状況である為、根拠や説得力のない価格交渉になかなか応じてくれません。しかしながら、精査の内容について建設会社が理解できる形で根拠が示されている場合であれば、価格交渉への前向きな対応に十分期待できます。

    5. スキルとノウハウによる効率化


    これまでもCM会社の抱える専門スキルやノウハウについて触れてきましたが、それらを活用することでプロジェクトを効率的に進めることができる点もメリットとして挙げられます。前述した以外にCM会社が持つスキルとノウハウについて、以下に一例として紹介します。

    【CM会社の専門スキルとノウハウの一例】
    ・各種マネジメントスキル
    ・整理する能力と説明力
     ⇨問題の本質と課題を洗い出せる
     ⇨整理できれば分かり易く説明できる
    ・問題が生じた際の対応力
     ⇨過去に類似の経験が必ずある
     ⇨経験に基づいた方策を実施できる
    ・ツールやテンプレート、書式を保有
     ⇨スケジュール/情報/コスト管理ツール
     ⇨見積書式、契約書式、変更管理書式

    上記は、一例として紹介したものなりますが、各種の専門的なスキルはもちろんのこと、ツールや書式についても、CM会社が長年の経験と実務に基づいて積み上げてきたノウハウそのものであります。その為、これらを最大限に活用することで、プロジェクト実施の効率を飛躍的に高めることに繋がります。

    6. 必要な業務に絞って依頼できる


    ここで、これまでとは少し異なる視点からCM会社の活用メリットについて触れておきます。それは、CM会社へ業務を依頼する際は、必要な業務を取捨選択した上で合理的に依頼することが可能であるという点です。

    これは、CM会社採用の根本が、建設プロジェクトで必要となるCM業務を実施するにあたり、発注者の体制で不足している経験やスキルを補うことにある為です。

    その為、多岐に渡るCM業務全てを依頼する必要は必ずしも無く、プロジェクトの目的や状況を踏まえて、例えば「企画・設計の段階から建設会社が選定されるまでの間の業務を依頼する」または「コストに関するスキルが不足しているのでコストマネジメント業務のみ依頼する」といったように、必要とするプロジェクトフェーズやマネジメントタイプに絞り込んで業務を依頼することも可能なのです。

    7. その他のメリット


    最後に、ここまで上げたCM会社の活用メリットに加え、その他のメリットについて以下の通り簡単に紹介します。

    【その他のメリット】
    ・関係の深い設計者や施工者を見直せる
     ⇨仕切り直しが図れる
    ・いち早く建設市場の動向を察知できる
     ⇨市場動向のレポート化にも対応

    以上のように、今回は「CM業務シリーズ」として、マネジメント会社やコンサルティング会社を採用する代表的なメリットについて、コンストラクションマネジメント会社の活用メリットを例に挙げて紹介しまた。

    「CM業務シリーズ」はこちらから↓
    建設マネジメント市場の展望
    国内の主要な建設マネジメント会社一覧
    なぜコンストラクションマネジメント会社の活用が必要なのか
    コンストラクションマネジメント会社を採用するメリット
    最適なコンストラクションマネジメント会社の選び方
    コンストラクションマネジメント業務に必要な費用はどの程度か

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2016.7.19
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