シェアハウスの建築費は坪単価でどの程度の水準か？【2019年版】
【坪単価で把握するシェアハウスの建築費｜2019年版】
国内に建設される建物の建築費を坪単価から把握するコラム「坪単価で把握する建築費」シリーズ、今回はシェアハウスの場合として、国内における建築費の水準について坪単価をベースに紹介していきます。
一般に、シェアハウスの建築費は建物の構造や地域によって異なるので、下記のように大きくは構造別の視点から都道府県別の建築費水準や近年の傾向について把握していきます。
- 1. 構造別でみたシェアハウスの建築費水準
- 2. シェアハウス（木造）の建築費水準（都道府県別）
- 3. シェアハウス（木造）における建築費の傾向
- 4. シェアハウス（鉄骨造プレハブ工法）の建築費水準（都道府県別）
- 5. シェアハウス（鉄骨造プレハブ工法）における建築費の傾向
1. 構造別でみたシェアハウスの建築費水準は？
木造では約54万円/坪、プレハブ鉄骨造では約70万円/坪の水準に！
まず、全国におけるシェアハウスの建築費を構造別でみてみると、鉄骨造（プレハブ工法）の場合で69.6（万円/坪）となっています。一方、構造が木造のシェアハウスにおける建築費は53.5（万円/坪）の水準と、構造が鉄骨造（プレハブ工法）の場合と比較して坪あたりで約16万円程度低い水準となっています。（下図参照）
2. シェアハウス（木造）の建築費水準は？
都道府県別でみたシェアハウス（木造）の坪単価、最も高い水準は東京、次いで神奈川、埼玉、福島が高水準に！
2018年のシェアハウス（木造）における建築費の水準を都道府県別に見てみると、最も高い水準になったのは東京の63.1（万円/坪）で、神奈川の60.4（万円/坪）、埼玉の58.6（万円/坪）、福島の58.0（万円/坪）がこれに続きました。一方、坪単価が最も低い水準となったのは宮崎の43.6（万円/坪）で、長崎の44.1（万円/坪）、鹿児島の46.1（万円/坪）と続いています。（下図参照）
シェアハウス（木造）の特徴としては、東京、神奈川における建築費が坪あたり60万円以上の水準となっている点、また、全ての地域における建築費が全国平均である53.5（万円/坪）から±10万円の水準に収まっている点が挙げられます。
3. シェアハウス（木造）における建築費の傾向は？
①全国における坪単価の水準はこの7年間で1割以上も上昇！
2011年から2018年までの全国におけるシェアハウス（木造）の建築費水準を見てみると、2011年の48.3（万円/坪）から2012年の48.5（万円/坪）まで概ね横ばいで推移した後、2018年まで継続的に上昇傾向で推移していることが読み取れます。2018年の時点では53.5（万円/坪）の水準と、2011年から7年間で10.9%程度上昇しています。（下図参照）
②東京における坪単価の水準は上昇傾向へ！
続いて、東京におけるシェアハウス（木造）の建築費の傾向を見てみると、底となった2012年の60.3（万円/坪）から2014年の63.2（万円/坪）まで上昇傾向で推移したものの、その後は2017年まで3年連続の下落傾向で推移していることが読み取れます。しかしながら、2018年には63.1（万円/坪）の水準まで再び上昇し、2011年の水準と比べると2.5%程度高い水準となっています。（下図参照）
③埼玉における坪単価の水準はこの7年間で約1割の上昇に！
埼玉におけるシェアハウス（木造）の建築費水準を見てみると、2011年の53.2（万円/坪）から2013年の55.1（万円/坪）まで上昇傾向で推移しています。その後、2016年まで坪あたり55万円前後で推移しましたが、2017年より上昇傾向に入り、2018年の時点では58.6（万円/坪）と直近7年間で一番高い水準となっています。また2011年から2018年まで建築費の上昇率は約10%と、7年間で約1程度高い水準になっていることが分かります。（下図参照）
④愛知における坪単価の水準は直近2年間では下落傾向で推移！
愛知におけるシェアハウス（木造）の建築費水準を見てみると、2011年の48.4（万円/坪）から2014年の53.5（万円/坪）までは上昇傾向で推移しています。その後、2017年までは坪あたり54万円の水準で推移しましたが、2018年に56.0（万円/坪）の水準まで若干上昇しました。2018年における建築費の水準は2011年の水準と比較すると約15.7%高い水準にあり、この7年間に大きく上昇していることが分かります。（下図参照）
4. シェアハウス（鉄骨造プレハブ工法）の建築費水準は？
都道府県別でみたシェアハウス（鉄骨造プレハブ工法）の坪単価、最も高い水準は東京、次いで長野、大阪、神奈川が高水準に！
2018年のシェアハウス（鉄骨造プレハブ工法）における建築費の水準を都道府県別に見てみると、最も高い水準になったのは東京の86.2（万円/坪）で、長野の76.8（万円/坪）、さらには大阪の76.7（万円/坪）、神奈川の75.9（万円/坪）が続きました。一方、坪単価が最も低い水準となったのは香川の56.1（万円/坪）で、福島の56.5（万円/坪）、愛媛の59.2（万円/坪）と続いています。（下図参照）
シェアハウス（鉄骨造プレハブ工法）の特徴としては、東京における建築費が坪あたりで85万円以上の水準と他の地域と比較して非常に高い水準にある点、また木造シェアハウスの場合とは異なり、建築費の水準に地域格差が大きい点が挙げられます。
5. シェアハウス（鉄骨造プレハブ工法）における建築費の傾向は？
①全国における坪単価の水準は直近7年間で2割以上も上昇！
2011年から2018年まで全国におけるシェアハウス（鉄骨造プレハブ工法）の建築費水準を見てみると、2011年の56.9（万円/坪）から2018年まで継続的な上昇傾向にあることが読み取れます。2018年の時点では69.6（万円/坪）の水準にあり、2011年から7年間で約22.4%と2割以上も上昇していることが分かります。（下図参照）
②東京における坪単価の水準は6年間で2割以上と大きく上昇！
東京におけるシェアハウス（鉄骨造プレハブ工法）の建築費水準を見てみると、底となった2012年の69.9（万円/坪）より2018年の86.2（万円/坪）まで継続的に上昇傾向で推移していることが分かります。全国でみた場合と同様に、建築費の水準はこの6年間で大きく上昇し、2012年からの上昇率は約23.3%となっています。（下図参照）
③千葉における坪単価の水準は概ね横ばい傾向で推移！
2011年から2018年までの千葉におけるシェアハウス（鉄骨造プレハブ工法）の建築費水準を見てみると、2011年の56.6（万円/坪）から2016年の74.7（万円/坪）まで大きく上昇傾向で推移していることが読み取れます。その後、2018年の74.2（万円/坪）まで概ね横ばいやや下落傾向で推移しています。2018年における建築費の水準は、2011年の水準と比較すると約31.1%と非常に大きく上昇しており、東京や全国の場合よりも高い上昇率となっています。（下図参照）
④埼玉における坪単価の水準は7年間で2割以上の上昇へ！
埼玉におけるシェアハウス（鉄骨造プレハブ工法）の建築費水準を見てみると、2011年の57.3（万円/坪）より2018年まで継続的に大きく上昇して推移していることが分かります。2011年から2018年まで7年間の上昇率は24.4%と東京の場合と近い上昇率となっています。（下図参照）
以上のように、今回は建物用途がシェアハウスの場合における建築費の水準や傾向について坪単価をベースに紹介しました。
また、今回のコラムで紹介しました統計データを活用して建築費の水準を把握する方法は、全国や地域別といった大きな市場における「建築費」について、その水準やトレンドを掴む目的には適っている一方、個別性の強いプロジェクトや高い精度を求める場合にはあまり向いていない方法であることについても触れておきます。
その為、こちらの「建築費」の水準や傾向を把握するアプローチに関するコラムを参考に、目的に適ったアプローチで「建築費」の水準や傾向を把握することが重要となります。
注1）坪単価を算出する際に対象としたデータについて戸数が150戸未満の場合についてはばらつきを考慮して対象から除外した。
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